モバイル決済サービス「PayPay」を手掛けるPayPayは1月17日、後払い決済、保険、個人/法人向けローン、投資などの金融サービスを2020年中に始める計画を明らかにした。UI・UXを工夫し、PayPayアプリで審査や手続きができる仕様にするという。
今後は複数の金融機関と提携し、各種サービスの実用化を目指す。完成したものから順次リリースする予定で、早ければ今春にも一部サービスの提供を始めるとしている。
決済や公共料金の支払い、個人間送金だけでなく、金融サービスに対応することで、既存のモバイル決済サービスとの差別化を図る狙い。PayPayの中山一郎社長は「顧客の生活に密着した“スーパーアプリ”を目指す」と意気込んだ。
金融サービスの詳細は現時点では非公開だが、柔軟に利用できる仕組みにする予定で、「(保険や借り入れなどの利用が)1日単位、1週間単位、時間単位などでできる、クイックなサービスにしたい。使いたいと思った人がすぐ始められるようにする」(中山社長)という。
PayPayの親会社であるZホールディングスと経営統合を予定しているLINEは現在、少額の積み立てに対応した「LINE スマート投資」や、LINEで株を売買できる「LINE証券」などのスマホ投資サービスを手掛けている。PayPayが投資分野に参入した場合は、グループ内で事業内容が重複し、ユーザーの奪い合いに発展する恐れがある。
だが中山社長は「(両社のサービスをどうするかは)統合後に話せばいい。現時点では(LINEとは)競争関係にある」とし、投資サービスの開始に意欲を見せた。
金融サービス以外の機能もさらに強化する方針で、加盟店の商品をPayPayアプリで事前に注文・決済し、商品を店舗で受け取れるサービスへの対応も検討中という。同様のサービスは軽減税率制度の施行に伴って注目を集めており、中山社長は「ぜひやりたい。賛同いただける会社を探している」と前向きな姿勢を示した。
1月17日の時点で、PayPayの累計ユーザー数は2300万人、加盟店の申し込み数は185万カ所、単月での決済回数は1億回を突破した。ヤフーが立ち上げた、PayPayと連携したECサイト「PayPayモール」などが成長を後押ししたという。追い風が吹く中で金融サービスを始めてさらなるユーザー獲得につなげ、業界での地位を確固たるものにする考えだ。
ただPayPayは、大規模な還元キャンペーンを相次いで展開した影響などで、19年3月期(18年4月〜19年3月)の売上高は約6億円、純損益が約368億円の赤字だった。中山社長は、金融サービスの業績への影響については非開示としたものの、「事業として取り組んでいるので、そのあたり(黒字化)を見定めながら、着実に一歩一歩進んでいる」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR