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» 2020年02月29日 08時19分 公開

「フジフイルムPV炎上」のモヤッと感を整理する (1/2)

小寺信良さんが、「ストリートスナップ」によるプロモーションで起きた騒動について整理してくれました。

[小寺信良,ITmedia]

 2月上旬、富士フイルムのカメラ「X100V」のプロモーション映像として、同カメラを用いた鈴木達朗氏によるインタビューと、それに付随してストリートスナップ撮影の模様が公開された。このストリートスナップの撮影状況が、迷惑行為であるとしてネットで炎上、公開動画が削除されるに至った

photo X100V
photo プロモーション動画配信停止のお知らせ

 かなり早くに削除されたので、ご覧になった方は少ないかもしれない。YouTubeへの無断転載も、アップされては消され、を繰り返しているようだ。筆者は早めに公式サイトで確認したが、みんなが不愉快だと言っている気持ちはわかる。ただ、その後の議論の成り行きがどうもしっくりこない。

 今回はこの問題の本質を整理してみる。

この記事について

この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年2月17日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額660円・税込)の申し込みはこちらから

ストリートスナップという手法の衝撃

 問題とされるシーンは、動画の前半から中盤に挿入される、ストリートスナップを撮影している模様だ。鈴木氏が単身カメラを片手でもち、これはと思う人物の前に出てはファインダーを覗き、シャッターを切る。鈴木氏を避けようと歩行コースを変えた人に対しても、それに合わせて正面に回り込み、進路を妨害しているようにも見える。

 時折、その際に撮影された静止画が挿入されるが、被写体はカメラ目線でかなり目力のある人たちだ。つまり、カメラマンである鈴木氏を睨んでいる。動画から察する限り、カメラを睨んだのはほんの一瞬であるようだが、その瞬間を見事に捉えている。

 この手の、日本国内で撮影されたであろうストリートスナップは、昔の写真誌にはよく掲載されていた。また海外でのストリート写真も未だによく目にするところである。

 以前から疑問に思っていたのは、こうした写真は最終的に本人に許諾を取るのだろうか、というところだった。すれ違い様に撮ってしまってから、あとを追いかけてすいませんと声をかけて許諾をもらうというのはなかなか難しいように思う。そう考えると、仕込みのモデルさんなのかなとも思ったりした。

 だが実際には、全く許可も撮っておらず、仕込みのモデルでも何でもない、本物の一般人の方を撮影して、それを広く公開する行為が「ストリートスナップ」であるということが分かった。それが賞を取ったりしてさらに広く全世界にその顔かたちが広まるわけだから、被写体の人には何かフォローしなくて大丈夫なのか、と心配になる。

 おそらく同じポイントで驚いた人も多いのではないか。実際に、有名になったストリートスナップの被写体は自分たちであるとして、フランスで裁判になっている。結果は仕込みのモデルを撮影した事実があるということで、被写体だと称した夫婦は敗訴する結果となったが、写真が有名になればこうしたリスクは起こりうる。

 ネットの意見では、まず「こんなことされたら気持ち悪い」という感情が発端となり、こうした行為は違法だろうということで、感情を法律で裏付けしようとする人が多いようだ。だが、法律は本当にこうした行為を禁止しているのか。そこはきちんと調べる必要がある。

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