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» 2020年03月04日 07時00分 公開

フェイクニュースで株価暴落も AIの“超高速取引”に潜む危険性 (1/3)

金融業界では、HFT(高頻度取引)に代表されるように、コンピュータが株式市場などで自動取引する動きが活発化してきている。高速取引にはメリットもあるが、思わぬ落とし穴もある。HFTの時代に何が起きているのかをまとめた。

[安藤類央(国立情報学研究所),ITmedia]

 金融業界では、コンピュータを駆使して高速に株取引などを行うHFT(High Frequency Trading:高頻度取引)の動きが活発化しています。HFTは、金融・為替・株式市場などでミリ秒単位の頻度で売買の注文を行うもので、2010年代から特に注目を集めるようになりました。

 日本では、2010年に株式売買システム「アローヘッド」が稼働。従来のシステムと比べてより高速な取引が可能になり、今では日本でも多くの注文がHFTになったといわれています。HFTでは市場データなどを高速にクローリングしており、例えば大手情報企業の米Thomson Reutersは、16年時点で25ミリ秒の頻度で市場データを更新するデータフィードを提供しています。

 HFTは、その名の通り高頻度であればあるほど、短い時間により多くの取引ができるため、1回当たりの取引のリターンが小さくても、小さな利益を積み上げることで大きな利益を得られるようになる――というものです。

 しかし、高速に取引できるが故の危うさもあるのです。

フェイクニュースで株価指数が乱高下、HFTの問題点

 HFTにまつわる話で有名なのは、米作家マイケル・ルイス氏が14年に出版した「フラッシュボーイズ」でしょう。フラッシュボーイズは、一般投資家の注文を先回りして超高速取引を行い、利益を上げる取引業者のことです。その様は、超高速かつ正確な後出しジャンケンにも例えられます。

 さらに、株式市場を不安にさせる要素として懸念されるのが「フラッシュ・クラッシュ」のような事象です。フラッシュ・クラッシュは株価の瞬間的な暴落のことで、10年に米国市場で起きたものでは、ダウ工業株30種平均が数分間で約1000ドルも下落しました。

 こうした株価の暴落が意図的に引き起こされた事件もありました。

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