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» 2020年03月05日 14時21分 公開

JASRACに敗訴の音楽教室、知財高裁に控訴 「こじつけ判決」と地裁を批判

音楽教室側がJASRACの著作権料徴収の権限を認めた東京地裁判決を不服として、知財高裁に控訴。音楽教室側は「最初から結論ありきの判断で、到底納得できない」としている。

[ITmedia]

 日本音楽著作権協会(JASRAC)に音楽教室から著作権使用料を徴収する権限があるか否かが争われた裁判で、音楽教室側は3月4日付で、JASRACの権限を認めた東京地裁判決を不服として、知財高裁に控訴した。音楽教室側は「最初から結論ありきの判断で、到底納得できない」としている。

 JASRACは2017年2月、ヤマハ音楽教室など楽器の演奏や歌謡を教える教室に対し、著作権料を徴収する方針を発表した。これに対し、ヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所などが結成した「音楽教育を守る会」が反対し、17年6月にJASRACの徴収権限がないことを確認する訴訟を提起した。

 著作権法では、著作物を公衆に聞かせるために演奏する権利「演奏権」を、作詞・作曲者が占有すると定めている。音楽教育を守る会は(1)音楽の利用主体は「教師または生徒」であり「事業者」ではない、(2)レッスン中の演奏は「公衆」に対するものではない、(3)「聞かせる」ことを目的としていない──などと主張したが、東京地裁は2月28日、これらの訴えを退け、使用料の支払い義務があるとする判決を言い渡した。

「こじつけ判決」と批判

 判決を受け、音楽教育を守る会は「生徒の毎回の練習や教師が示すお手本など、たった一小節であっても、事業者による演奏と見なされ、著作物使用料を支払わなければならなくなる」と反発。「そうした判断は、社会一般の感覚から乖離(かいり)しており大きな違和感がある」としている。

photo 音楽教育を守る会が3月5日に出した声明文より

 音楽教育を守る会は「(音楽教室での演奏は)公衆に直接聞かせることを目的とした演奏には該当しない」とあらためて強調。カラオケスナック店で客が歌う場合、店から使用料を徴収することを認めた判例(いわゆるカラオケ法理)を、音楽教室の実態に即さないのに機械的に適用している──とし、「明らかにこじつけ判決だ」と批判した。

 同会は「楽譜や発表会での著作物使用については、きちんと申請し、支払いを行っている」とも説明。今後、さらにレッスンでの練習からも使用料を徴収するとなると「音楽教室事業者の経営を圧迫し、使用する楽曲の範囲が狭まり、最終的には権利者への利益還元に支障が出る」と指摘した。

 さらに、同会は「著作権を尊重する一方、著作物を演奏できる人材を育成し、利用しやすい環境を整備し、最終的に権利者への利益を還元するというバランスの取れた好循環が音楽文化の発展につながる」と主張。「JASRACは、なぜ音楽教室の社会的役割に考えがいたらないのか」と批判している。

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