ITmedia NEWS > AI+ >
ITmedia AI+ AI活用のいまが分かる

電磁コイル式リングで空中指入力 ワシントン大学「AuraRing」開発Innovative Tech

» 2020年03月12日 07時50分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 ワシントン大学の研究チームが開発し2019年12月に発表した「AuraRing」は、ウェアラブルデバイスのインタフェースとして指の動きをミリレベルの細かさで追う、5自由度に対応する自己完結型の電磁トラッカーシステムだ。

photo AuraRingを使用している様子

 リストバンドは、操作性の高い人差し指に装着したリングの絶対位置と方向をリアルタイムに追跡。具体的には、手首と指の中手骨関節の屈曲/伸展と外転/内転を捉える。

 空中で文字や絵を描く、テーブルや壁などにタップ入力、なぞってスライド入力、バーチャルオブジェクトとの接触――などのユースケースが挙げられる。会議中にスマートグラスやスマートウォッチなどに通知されたメッセージに、太ももに指を押し当ててテキストを入力し返信することも可能だ。

 システムは、電磁コイル搭載のリングと、3つの3軸センサーコイル搭載のリストバンドで構成する。リングが電磁コイルを使用して特定の周波数の振動磁場を手の周囲に生成すると、リストバンドのセンサーコイルに電圧が誘導され、取得する誘導電圧から位置と方向を計算する。計算にはニューラルネットワークを採用したアーキテクチャを用いる。

photo AuraRingの概要図

 さまざまなポイントで磁場を測定し、リングの5自由度の姿勢を推定する。3つの姿勢位置(x、y、z)と、2つの回転(ヨーとピッチ)だ。

 システムは電池式で、消費電力2.3mWと低電力で動くため、バッテリーは約1日間連続駆動する。

 また、10〜15センチと短距離追跡に焦点を当てているため、環境干渉の影響を最小限に抑えた精度を実現する。平均誤差4.4ミリの動作精度を実証した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.