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ウソの感染報告、東京ロックダウン説――コロナ禍で広がるネットのデマとの付き合い方(2/3 ページ)

» 2020年04月16日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]

良い話ならウソでもOK?

 しかし、「エイプリルフールくらいいいじゃないか!」という意見も多く見られます。その点に関しては私も半分くらい同意しますが、以前のコラムでも取り上げた「サンパーの法則」が守られていなければダメだとも思います。

 これはディズニー映画「バンビ」に登場するウサギ、サンパー(日本語版では“とんすけ”)が母ウサギにたしなめられるひと言から作られた法則で「もし良いことが言えないのならば、何も言うべきではない」(“If you can't say something nice, don't say nothing at all”)というもの。これは、いまのSNSで一番大事な法則なのではないかと思っています。

 とはいえ、ウソでもいいから美談を流すという風潮が一部で存在することは問題でしょう。創作実話などと呼ばれる現象は、次々とSNSで登場しています。マクドナルドで女子高生が話していたという枕詞で世相をズバッと斬られても、横目で見ながらスルーすべきだと思います。決して、リツイートなどで拡散に加担すべきではありません。

 特にSNSにおいては、世代間の憎悪をあおったり、攻撃対象となる敵を作ったりといった「分かりやすい正義」がもてはやされています。リツイートする前に、3分ほど待ってみることをお勧めします。

気にしたいデマとの接し方

 エイプリルフールのウソに加え、いまもう一つ気を付けるべきはデマへの加担でしょう。説明は不要かと思いますが、昨今のCOVID-19に関連して、トイレットペーパーの買い占めが行われました。これに関しては「COVID-19の流行に伴ってトイレットペーパーが品薄になる」という出所不明のデマに起因しているとも考えられています。

 デマについて、特にSNSにおいては「不確かなうわさには触れない」以外の対応はないでしょう。もちろん、LINEをはじめとするグループチャットでも触れるべきではありません。非公開の場での情報のやり取りはブラックボックス化することもあり、検証不可能なうわさが広まりやすいこともあります。

 決してネットが悪いというわけではないですが、人の心の弱さや考え方のクセが物事を悪い方向に持っていってしまいます。これに打ち勝つには、理路整然と考え、自分を強く律するしかありません。決して難しい話ではなく、SNSにおいては「一切拡散しない」だけで十分です。

 例えば、ロックダウン(都市封鎖)が4月1日に東京で実施されるらしいという(結果としての)デマは、菅義偉官房長官からも「事実ではない」という発言があったほどです。

 この手の未来予測のやっかいなところは、後に実際にロックダウンとなったときに結果としてデマを吹聴した人たちが、「ホレ見たことか!」と図に乗る点にあります。一度こういったことがあると、次から未来予測型デマが方々で発生し、収拾が付かなくなってしまうでしょう。こういった「後出しジャンケン」に関しては、やはり対応として「触れない」しかないと思っています。後からなら、どんなことでも言えますから。

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