いつまでもガラケーにこだわり、スマホや新しいサービスを使いこなせず、従来のサービスが終了しようものなら声高に叫ぶ方々です。会社内でも「メールしか使えないからチャットツールは導入できない」「打ち合わせは対面でないと失礼だからオンライン会議ツールは許可しない」「既存の業務システムがあるからSaaSは使わない」「パッケージソフトは業務に合わせてカスタマイズが前提」など、“現場の意見”を積極的に上げてくれるでしょう。
しかし業務やツールの見直しなどの新陳代謝が進まなければ、企業と社員のITリテラシーは低いままです。
書類にハンコを押してFAXで送信したことを電話で連絡し、メールソフトにはCCの未読があふれて、なぜ動くか分からないExcelマクロを起動しつつ、入社前から稼働しているWindows XPでしか動かない業務システムに囲まれる環境から、脱却しなければいけません。
「簡単に仕事は変えられない」「テレワークはできる訳がない」と思う方もいるでしょう。
しかし、管理業務や事務作業、各部門との連絡やセキュリティ上問題のない情報共有などのテレワークを導入しやすい部分もありますし、「自社ではできない」と思考停止してはいけません。新型コロナウイルスが終息した後も、従来と同じやり方で仕事をすれば良いのでしょうか。IT技術を駆使して、テレワークによって自宅のPCから会社にある自動ハンコロボットを遠隔操作して書類に押印しても、根本的な解決にはなりません。
現時点で企業のITリテラシーは3つのパターンに分かれています。
ガラケーおじさんの都合に合わせたままでは社内のIT化が進まず、リテラシーが「格差」から「断絶」に深まるでしょう。
ではガラケーおじさんを動かすには、どうすればいいでしょう?
「IT化を推進しなければ企業としての競争力が〜」と理由を挙げても、ガラケーおじさんに正論は通用しません。正論は通じませんが、権威に弱いのがガラケーおじさんの特徴です。ここで過去のAI導入でも叫ばれたキーワードを使って説得しましょう。「同業他社が既にやっている」という横並び意識を刺激するのです。しかし都合よくIT化に邁進(まいしん)する同業他社があるとは限りません。
そんな中、日本国内の誰もが知っている企業において、衝撃的なニュースが飛び込んできました。トヨタ自動車の豊田章男社長が、NTTとの共同記者会見で「ソフトウェア・ファースト」を提言したのです。
豊田社長の発言内容を抜粋すると、「ものづくりにおけるソフトウェアの位置付けが変化して、ソフトの進化のスピードがハードを上回る状況が出てきた。従来はハードとソフトの一体開発だったが、ソフトを先行して開発して実装するソフトウェア・ファーストの考えが広がっている」「ハードの強みを生かして、ソフトウェア・ファーストの考え方も取り込み、トヨタのクルマづくりを変革する」と話しています。
さらにスマートフォンを成功事例として紹介し、「クルマのマイナーチェンジがソフトウェアのアップデートという概念に変わってくれば、トヨタが持つハードの強みがさらに生きてくる」と話しています。
あのトヨタ自動車が、ものづくりとは対極にあるソフトウェア(IT)がファースト(大事)と宣言しています。
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