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» 2020年05月01日 07時00分 公開

未経験から“AI人材”に データサイエンティストが伝える「機械学習を学ぶ意味」 (1/5)

誰もがAI・機械学習を学ぶことが当たり前の時代になっていく――現役データサイエンティストが“AI人材”に近づくための第一歩を教えます。

[堅田洋資,ITmedia]

 AIや機械学習と聞くと、人間と同等の知能を持ったロボットや、ものすごいスピードで処理をするシステムのようなものを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。

 しかし、実際の生活や業務で活躍するAIは、もっと理解しやすい、身近なものです。

 例えば、お掃除ロボットや、スマートスピーカー、SNSで人をタグ付けする機能など、皆さんの生活の中ですでに活用されています。これらのAI・機械学習を使うと、コストを下げられる、パーソナライズできる、つながりを生み出すことができるなどのメリットがあります。

 例えば、SNSで誰かをタグづけしようとする際に、自分で検索をして、選択してという作業をするのは手間がかかりますが、AIが自動で提案してくれることにより自分でタグ付けするという手間、つまりコストを下げられます。

 また、ECサイトでよく見かける「あなたにおすすめ」などのレコメンドは、個人の嗜好(しこう)をデータから分析し、パーソナライズされた結果を返しています。SNS上では「この人は友達?」などとサジェストしてくれる機能も同様で、人とのつながりを生み出しています。

 このようにとても便利なAI・機械学習ですが、その「学習」プロセスや仕組みはどうなっているのでしょうか。本記事では、AIやビッグデータを活用してビジネス課題を解決できる“AI人材”を目指す新社会人にも分かりやすいよう、AI・機械学習の基礎知識やビジネス活用の考え方などについて解説しています。もちろん、新社会人だけでなくあらゆる年代や業種の方に読んでいただける内容になっています。

著者プロフィール:堅田洋資 (かただ ようすけ)

社会人向けのデータサイエンティスト育成スクールを運営する株式会社データミックスの代表取締役。データサイエンス教育に加え、大手メディア、大手製薬企業、デジタルマーケティング企業のデータサイエンスプロジェクトのコンサルティングを行う。データミックス創業前は、白ヤギコーポレーションにてデータサイエンティスト、監査法人トーマツにてデータ分析コンサルタント、KPMG FASにて事業再生コンサルタント、外資系消費財メーカーでマーケティングやファイナンス業務といった経験を持つ。一橋大学商学部卒業(統計学・データサイエンス専攻)、サンフランシスコ大学でデータサイエンス修士号取得。著書は「フリーライブラリで学ぶ機械学習入門」(秀和システム)、「直感でわかる! Excelで機械学習」(インプレス)。

AI・機械学習の正体は?

 AI・機械学習は、脳みそ部分ともいえる変換器(アルゴリズム・計算式)に、何らかの値をインプットすると、予測値を返します。そして、実際の答えと予測値の差、つまりギャップを計算し、そのギャップを埋めるように変換器にフィードバックを返します。このサイクルを何度も繰り返すことによって、予測値と答えのギャップを埋めていきます。つまり人間が与えた「答え」をできるだけ再現するようになっていくというわけです。

 例えば、特定エリアの賃貸物件の価格を予測する場合、「目黒」「駅から徒歩15分」「延床面積30平方メートル」といった値をインプットします。最初、学習していない状態では「賃料=10円」というでたらめな予測値を変換器が返してきます。しかし、実際の賃料は9万円だとします。つまり、予測値の「賃料=10万円」と答えの「賃料=9万円」とのギャップを埋めるように変換器にフィードバックします。すると、同じような値がインプットされたとき、答えにより近い値を出力するようになってきます。このプロセスを繰り返すことにより、実際の値にますます近い予測値を返すようになります。

 このようにインプットと答えのペアをアルゴリズムに“食わせる”ことで、インプットを与えると食わせた答えに近い値を出力する変換器を最終的に得ることとができます。こうした学習の仕組みがAI・機械学習です。

 ここで、強調しておきたい点があります。それは、インプットを与えて得られる予測値が100%正しいということはあり得ないという点です。答えに限りなく近い値はあり得るかもしれませんが、ピッタリということは難しいのです。このことから、絶対に間違ってはいけないところには使えない、というのが大前提としてあります。

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