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傘を差して荷物も持てる2本分の腕──体に巻き付けるヘビ型ウェアラブルロボ「Orochi」Innovative Tech

» 2020年05月01日 18時32分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 アラブ首長国連邦カタール大学、フィンランドのヴァーサ大学、英グラスゴー大学、早稲田大学による研究チームが開発した「Orochi」は、体に巻き付けて使うヘビ型ウェアラブルロボットだ。2本分の腕として多目的に日常を支援する用途を想定している。

photo Orochiを着用する様子。(a)首に巻き、傘と紙袋を持つ(b)斜め掛けで装着している様子

 Orochiは首や肩、腰、脚などに巻いて着脱するデバイスだ。装着時は大きめのマフラーやスカーフ、ストール、ベルトのような見た目で、公共の場でも目立ちにくく、ファッション性が高い。

 システムは、複数のサーボモーターと2種類のエンドエフェクタ(ロボットアームの手の部分)で構成している。重量は1.4kg、全長240cm。 25自由度で動作し、最大1kgの物体を静止状態で保持できる

photo Orochiのハードウェアコンポーネント

 身体への巻き方を変えたり、2種類のエンドエフェクタの動作を駆使したりすることで、さまざまな場面であらゆる物体をつかむといった動作が可能になる。例えば、傘やスマートフォンを保持する、遠い場所にあるオブジェクトをつかむなどだ。実験では、その他にもさまざまなユースケースを紹介している。

photo (a,b)2種類のエンドエフェクタ(c)後方で紙袋を持ち、前方で自動販売機のボタンを押す使用例(d)VRシステムの触覚デバイスとした使用例(e)文字の視覚的伝達をする使用例
photo Orochiの活用例:(a)収納ケースを地面から取る(b)スマートフォンを前に保持する(c)デスク周りでオブジェクトとインタラクションする
photo Orochiの活用例:(a)ペットボトルでお茶を注ぐ(b)遠い場所のオブジェクトをつかむ(c)荷物持ちの補助をする(d)紙コップを保持する
photo Orochiの活用例:(a,b)人への接触で触覚を与える(c,d)スマートフォンを保持し入力する。

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