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リハスタが使えなくてもバンド活動がしたいおじさんたちの顛末(2/3 ページ)

» 2020年05月15日 09時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

 後日、VPNを確実に無効化した状態で再トライした。しかし、指ヨシキ氏がマンションの光ファイバー経由で入れない状況は同じ。やむなく、前回同様iPhoneのテザリングで入ってもらった。

 この現象については、NETDUETTOのFAQに次のような記載がある。「一部のインターネット対応マンションでは、NETDUETTO が動作しないことが確認されています」。指ヨシキ氏のマンションが運悪くこれに当たってしまったのだろうか。

 VPNをキャンセルしたおかげか、松尾P氏とのコミュニケーションは良好。山崎側で聴く松尾P氏の声やキーボードの音も、時々の途切れが入るものの、ちゃんと聴き取れる。そこで、まずはキーボードとベースだけで合わせてみた。こちらではちゃんと合わせているつもりだったが、松尾P氏いわく「ベースのタイミングが遅れている」という。

 各種設定は初期状態のままだが、遅延表示はダイナミックに変化しており、おおむね60〜90ミリ秒だった。最悪90ミリ秒後に相手の音が到達するので、音速で換算すると、約30m離れた位置で演奏しているのと同じことになる。仮に上り下りが同じ遅延時間だとすると、その倍の約60m先で演奏する相手とセッションしていることになる。合うわけがない。

photo NETDUETTOの画面。「遅延/ロス率」の数字が常に変化している。iPhoneのテザリングで接続した「指ヨシキ氏」だけが「IPv6」と赤で表示されている

 そこではたと気づいたことがある。筆者のオーディオインタフェースには、ダイレクトモニタリング機能がついている。これは、楽器の音をPC上で動作するソフトを介さずに直接ヘッドフォンに返す仕組みだ。

 これがオンになっていると、自分の音はタイムラグなしで聞こえるのに、松尾P氏のキーボードの音は遅れて聞こえてくる。そのため、遅れて到達する松尾P氏のキーボードの音に合わせて弾くことになる。そのベースの音が松尾P氏に送信されるため、タイムラグが徐々に積み重なっていってしまう。

 そこで、ダイレクトモニタリング機能をキャンセルして再度挑戦したのだが、自分の弾くベースが遅れて聞こえるので、これはこれで気が狂いそうになる。自分でリズムキープをしようとしないで、相手の演奏に身を委ねるようにするとなんとか合わせられた。とはいえ、これでも松尾P氏側でベースがずれて聞こえる点は変わりないという。

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