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リハスタが使えなくてもバンド活動がしたいおじさんたちの顛末(3/3 ページ)

» 2020年05月15日 09時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]
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 次は、指ヨシキ氏の指ドラムにベースを合わせてみる。おおむねテンポ120のバスドラの4つ打ちリズムを叩いてもらい、こちらでバスドラに合わせてベースを入れてみる。実は前回セッション時、ダイレクトモニタリング機能の影響からか、指ヨシキ氏側では、ベースがウラ打ちで聞こえるという珍事が起きた。「うぉー、ウラっすか!」「いやいや、オモテで弾いてるよー、そんな器用なベース弾けません!」という会話がなされたりしたものだ。

 ダイレクトモニタリング機能をキャンセルした今回は期待がもてる。結果はというと、「ウラにはなってないけど遅れてる」(指ヨシキ氏)とのこと。このときの指ヨシキ氏との遅延時間は約50〜55ミリ秒だった。FAQには以下の記述がある。

  • 35msec(ミリ秒)以下:ある程度の音楽セッションが実現できます。
  • 45msec以下:オケに合わせるような形式なら音楽セッションが可能です。
  • 70msec以下:カラオケでデュエットを楽しむ程度のことが可能です

 3人がルームに入っているあいだ、残念ながら一度も、35ミリ秒以下を示したことはなかった。ただ、70ミリ秒で「カラオケでデュエットを楽しむ」とあるくらいだから、約50〜55ミリ秒であれば、楽器のセッションもなんとかなるのではないかと思うのだ。例えば、バラードのようなゆっくりめの曲であれば、合わせられそうな気がする。

 ただし、それでも「遅延に対応するスキル」は求められる。ヘッドフォンから聞こえてくる他者のリズムよりネットワーク遅延時間分、前に突っ込んで弾くようにする必要がある。メンバー全員でそれを心掛ければ、ネットワークの遅延が相殺されてバッチリ合う、と思うのだが、いかがだろうか? 間違っていたら教えてほしい。

 結局、今回のセッションはグダグダになってしまったが、低遅延を誇る5Gの通信環境があれば、極めて現実的なソリューションになるのではないか。6月には「SYNCROOM」という名で新装開店するそうなので楽しみだ。ただ、それでもバンドセッションで要求されるレベルのリアルタイム性を満たすことは簡単ではないだろう。今から「遅延に対応するスキル」を磨いておくのも、afterコロナ時代のミュージシャン像なのかもしれない。

 さて、「Let It Be」を合わせることができなかった我々3人は、悶々と満たされない感情が瓶底のオリのようにたまってしまった。そこで、Let It Beを非同期で演奏することにした。つまり動画と音源を送り合ってのコラボセッションだ。その模様をYouTubeでご覧あれ。

 NETDUETTOの初期テスターでもあった松尾Pは責任を感じ、そして行動変容したバンド活動のために、J-COMからソフトバンク光 ファミリー・10ギガ(戸建て向け)に乗り換えることを決めた。工事は6月上旬。つながったら即、NETDUETTO(SYNCROOM)につなげ、レイテンシを計測するつもりだという。

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