分散型SNS「マストドン」のインスタンス「mstdn.jp」と「mastodon.cloud」を運営する分散型ソーシャルネットワーク機構は5月25日、両インスタンスを6月30日に終了すると発表した。ネット上の中傷に対する法制強化が実現された場合、運営の事務負担増加に対応しきれないと判断したという。
25日に菅義偉官房長官が記者会見で、ネット上の中傷に対してプロバイダー責任制限法の規定などから「適切に対応を図っていく」と発言。これを受けて同社は、「現在の体制では訴訟や開示請求があった場合の適切な対応は困難」として、両インスタンスを終了することを決めた。
mstdn.jpはマストドンブームの初期、世界最大のユーザー数を誇っていたマストドンインスタンス。2018年10月に、創設者のぬるかるさんからきぼうソフトへ譲渡。きぼうソフトは19年7月に運営専用の別会社として分散型ソーシャルネットワーク機構を立ち上げ、mstdn.jpとmastodon.cloudの事業を移行した。5月時点でのユーザー数はmstdn.jpが約20万人で、mastodon.cloudが約6万人。
分社化の理由についてきぼうソフトは、「両インスタンスの持続的な発展と透明性の向上」を掲げていた。しかし分散型ソーシャルネットワーク機構の財務諸表を見ると運営費が一方的に支出される中、売上が全くなく、ビジネスとして成り立っていなかったことがうかがえる。
日本初の大規模インスタンスのうち、ドワンゴの「friends.nico」は19年4月に終了。ピクシブの「Pawoo」は19年12月にクロスゲート(千葉県船橋市)へ譲渡され、運営はラッセル(東京都千代田区)が引き継いだ。現在の世界最大インスタンスはPawooで、ユーザー数は約62万人。
分散型ソーシャルネットワーク機構はmstdn.jpの公式アカウントで、「運営の引継ぎ・譲受を希望する場合はsns@bunsan.socialまで連絡してほしい」と呼びかけた。
【訂正:2020年5月25日午後6時30分 記事初出時、本文中で「mstdn.cloud」と表記していましたが、正しくは「mastodon.cloud」です。訂正してお詫びいたします。】
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