クリプトン・フューチャー・メディア(CFM)の“VOCALOIDじゃない初音ミク”、6月4日に公開された試作バージョンに早速触れてみたのだが、すぐに「地味でも本当に欲しかった機能が盛りだくさんでうれしい……うれしい……」と語彙力を失った。ミクの歌声をもっと細かくいじり倒したかった人々には、文句なしにおすすめできる。
“VOCALOIDじゃない初音ミク”とは、初音ミク NTのことだ。CFMオリジナルの歌声合成ソフト「Piapro Studio」専用のボーカル音源で、ヤマハの歌声合成ソフト「VOCALOID」では使えない。
開発が自由にできるようになったのか、細かいところから大きなところまで、既存の歌声合成ソフトのいいとこ取りをしている。いじり倒したかった側の人間としては、「そう! それが欲しかったんだよ!」と叫びながら作業してしまう程度には満足度の高いものに仕上がっていた。
これまで約30種類の歌声合成ソフトに触れてきた筆者が実際に触ってみた感想を、歌声合成ソフトのトレンドも交えながら紹介する。
初音ミクの独特な声は最大のアイデンティティーだ。これが大きく変わってしまっては「初音ミクの声じゃない」と落胆されてしまう。触ってみればすぐに分かるが、幸いなことに声のキャラクターはそこまで変わっていない。
ただし、音質は詰まった音になった印象を受ける。これまでの初音ミクの音質が好みだという場合は、DAW(音楽制作ソフト)での調整が必要だ。
聞いてみた印象では、歌える音域はF2〜G4の2オクターブ程度。従来の初音ミクのカタログスペックはA2〜E4(1.5オクターブ)なので、少し広がっている。
初音ミク NTに付属する新Piapro Studioでは、旧Piapro Studioの楽譜データ(PPSFファイル)とVOCALOIDの楽譜データ(VSQXファイル)の両方が読み込める。素直にありがたい。
しかし、過去の初音ミクとは音源の仕様が違うのか、全く同じようには歌わない。過去の作品をリメイクする場合などには再度調整が必要そうだ。
初音ミク V4XやMEIKO V3といった過去の製品や、他社のVOCALOID音源は読み込めなかった。当然だが少し残念。
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