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VOCALOIDじゃない「初音ミク NT」は何が違う? 現役ユーザーが詳細レビュー(2/5 ページ)

» 2020年06月04日 21時50分 公開
[くろ州ITmedia]

ピッチカーブが手描きできるという奇跡

 歌声合成ソフトで歌声を作り上げていく際にはほとんどの場合、ピッチ(音の高さ)を操作する。「サビの高音に入る前にはしゃくりあげ」「ロングトーンの後半ではビブラートをかけて」という、人間が喉でやっている操作をエディタ上で再現する作業だ。

 旧Piapro Studioのピッチは、MIDIという昔からDTMの世界で使われ続けている楽譜データ(厳密には電子楽器用の共通規格)の操作と似た方法でコントロールする。一般的なDTMerならなじみの深い方法だ。

 しかし、この方法はあまり直感的ではない。私はこの方式があまりに苦手すぎて、毎度別の方法でピッチを編集している。

 旧Piapro Studioエディタ上にはピッチの動きを示すピッチカーブが表示されるのだが、ピッチを書き換えるときには、ピッチカーブではなく画面下のエリアでパラメーターを操作して間接的にピッチを描く仕組みだった。

 「目の前にピッチカーブがあるのになぜ……?」とずっと思っていた。

ピッチカーブがあるならそちらを編集したい

 新Piapro Studioでは、このピッチカーブを直接編集できる。感覚的で個人的には高評価。操作性は好みが分かれるが、従来の方法がやりやすい人は今まで通りの方法で操作できる。選択肢が多いことはいいことだ。

 ピッチカーブを直接操作する方法は名古屋工業大学と音声ベンチャー「テクノスピーチ」による歌声合成ソフト「CeVIO」をはじめさまざまなソフトで採用されているため目新しくはない。この機能の有無は操作性を大きく変える。これだけのためだけに新Piapro Studioに乗り換える可能性もあり得る。私はそうする。

photo ピッチを直接手描きできる歌声合成ソフト

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