音の強さには大まかに、音量の大きさと力み具合という2つの要素がある。怒鳴っている力んだ声は、音量を小さくしてもやはり力んで聞こえる。既存の歌声合成ソフトの多くには音量をコントロールするパラメーターしかなかったが、新Piapro Studioには力み具合をコントロールするパラメーター「Voice Voltage」がある。
値を大きくすれば力強く、小さくすれば囁くように歌う。音量のコントロールだけでは、音の大きさは違うが声のテンションは常に一定という状態になりやすかったが、Voice Voltageではメリハリが付けられる。サビに向かって徐々に声が力強くなるような演出ができる他、バラードでは柔らかく、ロックでは力強く歌わせるという使い方もある。
これはイマドキの歌声合成ソフトには絶対必要な機能。私は搭載しないといけないレベルだとさえ思っていたが、ちゃんと実装されていて気分がいい。
一方、力ませすぎると音が鈍って発音の区別がつきにくくなりやすいという問題もある。合成音声らしさが強く出すぎてしまい、好みが分かれそうだ。弱くしすぎると、声が他の楽器に埋もれてしまうので、これもDAWで調整が必要だろう。
声の力み具合のパラメーターは、16年以降に企業がリリースした歌声合成ソフトの多くに搭載されているトレンドパラメーターだ。AI技術による歌声合成のトレンドに比べると地味だが、表現力の向上にはAI以上に貢献してくれている実感がある。AIも好きだが。
新Piapro Studioには、もう一つ音の大きさにかかわる機能がある。「Note Gain」だ。Voice Voltageは音符の配置とは無関係に流動的に音の強さを変える機能だが、Note Gainは1音符ごとに音量を上下させる機能だ。
これは「裏拍の音だけ強くしたい」など、ノリを作りたいに有効に働く。Voice Voltageで再現しようとすると、パラメーターを手描きする必要があるが、Note Gainならちょっとドラッグしただけで再現できる。とても効率的だ。この作業に掛ける時間が5分の1くらいにまで短縮できた。
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