米Amazon.comは6月10日(現地時間)、同社の顔認識技術「Rekognition」の警察による使用を1年間停止すると発表した。
同社は政府に対し、顔認識技術の倫理的使用のための規制を策定するよう提唱しており、この1年の間に議会が適切な規制を策定することを願うとしている。
具体的に言及はしていないが、これは白人警察による暴行で黒人男性が死亡したことを契機として全米に広がっている人種差別抗議運動に配慮したものとみられる。Amazonは1日、公式Twitterアカウントで「我が国での黒人に対する不公正で残酷な仕打ちは止めなければならない」とツイートした。
提供を停止するのは警察に対してのみで、行方不明の子どもを捜査するInternational Center for Missing and Exploited Childrenなどの組織は対象外。
Amazonは2018年から米法執行機関にRekognitionを販売しており、当初からアメリカ自由人権協会(ACLU)などが人権侵害に当たるとして抗議している。MITメディアラボのAI研究者、ジョイ・ブオラムウィニ博士は2019年のMedium投稿で、Rekognitionでは肌の色が濃い人ほど誤認されることが多いと指摘した。
8日には米IBMが、汎用的な顔認識および分析のためのソフトウェア製品を廃止すると発表している。米Googleは2018年の段階で技術および倫理的な課題を解決するまでは、汎用的な顔認識APIを提供しないと宣言した。米Microsoftは同年、顔認識技術開発に関する行動規範を作成すると発表した。
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