サブスクリプション制メールアプリ「HEY Email」のメーカー米Basecampの創業者でCTO(最高技術責任者)のデヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン氏は6月18日(現地時間)、米Appleからポリシーに従わないならアプリをApp Storeから削除すると通告されたとツイートした。
争点になっているのは、Appleのアプリストアにアプリを登録する条件の1つで、アプリ内購入を含むアプリからの収益の最大30%をAppleに納める、いわゆる「Apple税」だ。
HEY Emailを利用するには、ユーザーは年額99ドルのサブスクリプション料金を支払う必要があるが、BasecampはApple税を回避するためにサブスクリプション料金をアプリではなくWebサイト経由で支払うようにした。これに対し、Appleがサブスクリプション料金をアプリ内で決済するよう変更しなければポリシー違反でブロックすると警告した。
HEY Emailアプリは本稿執筆現在App Storeに存在するが、ハンソン氏は、AppleがBasecampに対し「ユーザーがアプリをダウンロードしても(料金を別の場所で支払うまで)機能しないのはわれわれの望むことではない」と説明し、アプリ内決済に修正するよう警告したという。
Apple税についてはスウェーデンSpotifyが2019年、不服として欧州委員会に提訴した。
例外もあり、米Netflixは2018年からサブスクリプション料金をアプリ外で支払えるようにしている。
欧州委員会は16日、Appleが競争原則に違反しているかどうかを調べる独占禁止法調査を正式に開始した。
米連邦議会下院反トラスト小委員会のデヴィッド・シシリン委員長は米The VergeのPodcastに出演し、Apple税は「法外な家賃」であり小規模な開発者を押しつぶすと語った。
Appleのワールドワイドマーケティング担当上級副社長のフィル・シラー氏はこの件について米TechCrunchの電話取材に応じ、「ルールを変更することはない。われわれのルールの範囲内でアプリを機能させるために開発者にできることはたくさんある」と語った。
シラー氏はNetflixが例外なのは、外部コンテンツを表示するためのツール「reader」だからであり、HEYはそうではないと説明した。
Appleは15日、App Storeでの2019年の総売上高が5190億ドルだったと発表した。「Appleはデジタルグッズ・サービスに関連する売上の手数料だけを受け取っているので、総額5190億ドルの85パーセント以上は、Apple以外の大中小あらゆる規模の開発者と事業者に生じたものということになります」としている。
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