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海水中のマイクロプラスチック量をAIで計測、海洋汚染の実態解明へ NECとJAMSTECが分析システム

» 2020年07月03日 12時40分 公開
[ITmedia]

 NECと海洋研究開発機構(JAMSTEC)は7月3日、AIの画像認識技術を使って、海水などに含まれるマイクロプラスチック(海洋汚染の原因になる微小なプラスチック粒子)の量を計測するシステムを開発したと発表した。海域ごとのサンプルに含まれるマイクロプラスチックの数、大きさ、種類を自動で集計、分類し、流出源の推定を効率化する。

photo マイクロプラスチック量の計測の流れ

 まず下準備として、海水に蛍光色素を混ぜてマイクロプラスチックを染めた上で、容器の中で水流を生み出す。次に、水流の様子を蛍光顕微鏡で撮影する。その動画をAIに読み込ませると、毎分60個の処理速度で、マイクロプラスチックのサイズや形状を自動で分析。画面などに結果を表示する。

 画像認識用のAIは「RAPID機械学習」と呼ぶ手法で構築した。この手法は、手本となるデータを事前に読み込ませると、ディープラーニング技術によってデータの傾向を自動で学習し、分類の精度を高めるのが特徴。

 従来は、研究員が海水や堆積物を目の細かい網ですくい、採取した物質を顕微鏡で確認した上で、マイクロプラスチックを手作業で抽出、分析していた。この手法は手間がかかる他、300μm以下の微小な粒子を見逃す恐れがあったため、AIを使って改善する。

 将来はAIを使った分析手法を確立し、マイクロプラスチック汚染の実態解明と、適切な排出規制の立案に役立てる。

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