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キヤノンがついに本気のミラーレス一眼を出してきた 「EOS R5/R6」正式発表 ボディ内手ブレ補正に動物AFも荻窪圭のデジカメレビュープラス(1/2 ページ)

» 2020年07月09日 21時44分 公開
[荻窪圭ITmedia]

 7月9日の午後9時、平日の夜という珍しい時間にキヤノンがミラーレス一眼の主力モデル「EOS R5」とその兄弟機となる「EOS R6」をオンラインで発表した。2月に開発発表し、数カ月にわたってスペックを少しずつ開示して期待をあおってきた製品だ。

手前が「EOS R6」、奥が「EOS R5」

 両機種は既発売の「EOS R」「EOS RP」の上位に当たるモデルで、一眼レフでいう「EOS 5D」シリーズに相当するハイエンドモデル。いよいよ主力モデルのミラーレス版が登場したのである。

 前モデルのEOS RとRPはEOSの特徴でもあった背面の電子ダイヤルがないなど、一眼レフのEOSとはいささか操作感が異なり、併用や買い換えに向かない点もあったが、今回の2機種は一眼レフの「EOS 5D Mark IV」と真っ向からぶつかるような製品となった。

 EOS 5D mark IVと同様、背面のサブ電子ダイヤルを持ち、十字キーはなく、スティック型のマルチコントローラーを装備。操作感も一眼レフ版のEOSから違和感なく移行できるようになった。

EOS初のボディ内手ブレ補正と動物AFに注目

 EOS R5とR6に共通するのはミラーレス一眼ならではの高機能だ。

 一番のトピックはボディ内手ブレ補正の搭載だ。

 ボディ内に5軸手ブレ補正を搭載し、レンズ内手ブレ補正(OIS)の協調制御で最高8.0段分の補正効果を実現した(何段分になるかはレンズによる)。世界最高レベルの手ブレ補正である。

 もう一つは連写性能。メカシャッター(電子先幕シャッター)時は最高で約12コマ/秒、電子シャッター時は最高約20コマ/秒を実現。どちらもAF/AE追従時の性能で、ミラーレス一眼ならではの速さといえよう。

 三つめはAF。ディープラーニングを使った被写体認識を用い、瞳検出に加え、頭部も検出。横顔の検出性能が上がっている。さらに動物への検出にも対応した。犬・猫・鳥に対して、瞳・顔・全身のそれぞれを検出する。犬や猫は顔が立体的であるため、被写界深度が浅いレンズを使うときは顔のどこにフォーカスを合わせるかが重要になる。近くにいるときは瞳にフォーカスを合わせ、少し離れているときは顔、さらに離れているときは全身を検出するよう調整する機能を持つ。

 人物と動物は排他的ではなく自動的にどちらにも対応するため、便利に使えそうだ(どちらを優先するのかの設定はある)。

 操作系は5Dシリーズのメイン電子ダイヤル+背面のサブ電子ダイヤル+スティックタイプのマルチコントローラーに加え、EOS Rなどに搭載した上面のサブ電子ダイヤル2も搭載。3ダイヤルとなった。RFレンズのコントロールリングを合わせると4ダイヤルである。

EOS R5は上部に液晶ディスプレイを持っている。背面はスティックとサブ電子ダイヤル

高画素で高速な新型センサーで8K動画にも対応したR5

 今回、事前に予告されていたEOS R5に加え、その下位モデルとなるEOS R6も発表された。主な違いはセンサーだ。

 R5は新開発の約4500万画素のフルサイズCMOSセンサーを搭載。もちろんデュアルピクセルCMOSでAFは高速だ。暗所でのAFもEV-6まで対応。開放F22のレンズでもAF撮影が可能になった。

 画素数が増えたのみならず速度も上がり、29.97fpsでの8K動画の撮影が可能、4Kなら119.88fpsでの撮影にも対応する。ハイエンドな映像製作の現場に向け、CINEMA EOSと同様の10bitのCanon Logへの対応や8KのRAW動画もサポート。8Kも4Kもクロップしない画角での録画が可能だ。

 ISO感度は常用でISO51200まで、拡張でISO102400まで対応しており、EOS Rより1段暗所に強くなった。

 高画素と高速を両立させたセンサーと新しい映像エンジン「DIGIC X」の組み合わせによるものだ。

 下位モデルとなるR6のセンサーは「EOS-1D X Mark III」のセンサーをベースにしたもので、画素数は約2000万画素とフルサイズセンサーとしては少なめ。その代わりAFの低輝度合焦限界が-6.5EVとさらに暗所に強くなり、最高ISO感度も常用でISO102400、拡張でISO204800に対応した。常用感度でISO10万である。

 動画はクロップなしの4K動画に対応している。

 高速で高感度なバージョンがR6といって良さそうだ。

 ボディの基本デザインは同じだが、R5は上面に液晶モニターが付いており、モードダイヤルはない(MODEボタンを押してサブ電子ダイヤル2を回すというEOS Rと同じ方式)。R6は液晶モニターがなく、撮影モードダイヤルが付いているという違いがある。

 その他の違いもいくつかある。

 シャッター耐久回数はR5が約50万回、R6が約30万回。

 EVFはR5が約576万画素なのに対して、R6はEOS Rと同じ約369万画素。背面の液晶モニターはR5が3.2型で約210万画素なのに対し、R6は3.0型で約162万画素と表示系に差がある。

 記録メディアはR5がCFexpressとSDカードのデュアルスロットなのに対し、R6はSDカードのみのデュアルスロット。どちらもデュアルスロット仕様だ。

 ネットワークはR5が5GHz帯のIEEE 802.11acに、オプションでEthernetへも対応するが、R6は2.4GHz帯のWi-Fiのみ。

 そして発売日と価格だが、EOS R5は参考価格46万円(税別、以下同じ)で7月下旬、R6は参考価格30万5000円で1カ月遅れの8月下旬発売予定となっている。

 価格差がけっこうあるが、いずれにせよEOS Rよりワンランク上の本格派仕様で今までフルサイズセンサーのEOSを使っていた人が乗り換えるに相応しいカメラに仕上がってきたといってよさそうだ。

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