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Armのライセンス形態はどうなっているのか AppleはどのIP?Apple Siliconがやってくる(2/2 ページ)

» 2020年08月04日 09時44分 公開
[大原雄介ITmedia]
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 例えばAppleの例で言えば、A4〜A5Xまでは、Cortex-A8/A9を使っており、これは通常のプロセッサIPのライセンス(Cortex License)を受けて製造した訳だが、Apple A6以降は自社設計のCPUコアになっている。これはArchitecture Licenseを取得して、自身で論理設計から行ったものである。

 長らくArmはこの2本立て(Cortex LicenseとArchitecture License)のライセンス形態をとっていた。厳密に言えばCortex Licenseの方は Fast Track、Single Use、Multi Use、Team、Perpetual、Subscription、Lead、Technologyと契約形態や自由度に応じていくつかの種類があるが、基本は同じである。

 ただここに来て、Architecture Licenseをもらっても開発コスト的に苦しいが、Cortex Licenseのままではカスタマイズできる余地がなくて不便だ、というわがままな顧客が出てきた。これに応じて今年発表されたのがCortex-X Custom Programという新しいライセンスである。Cortex Licenseの場合、基本的にArmが提供するProcessor IPに手を入れる事が出来ない(Cortex Technology Licenseのみ、ちょっとだけカスタマイズができる程度)。

 これに対してCortex-X Custom Programでは、既存のCortex-Aプロセッサをベースに、ドラスティックなカスタマイズが可能になった。その最初のものが、今年発表のCortex-X1(図1)である。Cortex-X1の話はこちらでも触れているが、Cortex-A78をベースにしながら5命令デコード/8命令実行に強化したり、NEONユニットを倍増したりできるようになった。今後は、こうしたセミカスタム製品が徐々に増えていく可能性がある、というのが現状のArmベースのプロセッサIP動向である。

photo 図1:ちなみにこれを採用したのはSamsungであることが既に明らかにされている。同社はArchitecture Licenseを得てExynos M1〜M4という独自コアを開発していたが、開発費の高騰に耐えかねたのか、M5の開発を中止。テキサスに置かれていた設計チームも解散した。その代わりにこのCortex-X1をExynos M5として採用している
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