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マイ3Dプリンタは失敗できる、それが楽しい 熱溶解積層の立体製造機で40時間の造形に挑戦した3Dプリンタ買っちゃいました(2/3 ページ)

» 2020年08月24日 14時15分 公開
[松尾公也ITmedia]

熱溶解積層、さまざまなトラブル

 33時間かけて妻の胸像のプリントアウトに成功。全身像を最小手順でプリントアウトするには500×500×500mmクラスの3Dプリンタが必要だということは分かったのだが、今所有しているプリンタでもできるだけ近いことをしたい気持ちは変わらない。そこで、前回覚えたモデル分割の手順を行い、Microsoftの「3D Builder」アプリで顔の部分だけを取り出して、倍率を最大にして出力してみた。

 時間とフィラメントを節約するために、出力径を標準の0.2mmから0.28mmに変更し、中身の詰まり具合を調整するインフィルを20%から10%に落とした。節約が効いたのか、21時間35分で出力できた。

photo スライサー「Cura」の設定で出力時間を短縮
photo 顔の前面だけに21時間35分

 自分の顔の横に置いて自撮りして、だいたいこのくらいだったな、と確認。ただ、右後頭部に、亀裂が1mmくらい入ってしまった。おそらく素材の問題だろう。PETGという、ちょっと扱いが難しい素材のフィラメントを試してみたからだと思われる。使いやすいPLA素材に戻そうということで、変更した。

 だが、フィラメントを取り換えたとたん、印刷がビルドプラットフォームに定着しなくなる問題が発生した。最初は格安フィラメントなのが問題かと前に使っていたのの残りで試してみると、これもダメ。「ノズル温度を上げるといい」「ベッド (ビルドプラットフォーム)の温度を上げる」「ベッドを脱脂しましょう」「第1層だけ10度上げる」といったアドバイスをいただいた。

 最終的に効果があったのは、「レベリングのやり直し」だった。ノズルとベッドの距離をギリギリまで短くする調整である。基本中の基本ではあるが、大して使ってないのにまたやる必要はないだろうとたかをくくっていた。今度はていねいに、A4コピー用紙がノズルでガサガサいうくらいまで接近させて調整する、というのをベッドの四隅でやってみて、テストプリント。ばかみたいにうまくいった。「何かあったらレベリング」。うん、覚えた。

 そして、今度は大物に挑戦。顔の前面だけでなく、後ろ頭も含めた頭部全体が同じ比率で造形エリアに入ることが分かったので、頭部全体を出力することに。

 出力予想時間は40時間を超えている。その半分を超えたくらいで調子がおかしくなった。

 フィラメントを送り出すボーデンという機構から、ノズルを収めたエクストルーダーの、間隔が異常に伸びているのだ。一時的にフィラメントを戻してもまた同じようになる。よく見ると、フィラメントを通すエナメル管とボーデンをつなぐ部品が外れているのだ。これをねじ込まないといけない。

 あたふたしている間にフィラメントが定着しなくなり、空中で無駄な動きを始めた。こうなると、この先はうまくいかないというのが分かってしまう。やむなく中止した。20時間が無駄に終わった。

 またやり直しである。

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