未だ世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。日本では4月に全国を対象とした緊急事態宣言が発令され、外出自粛が呼びかけられた。5月に段階的に解除されて以降、徐々に通勤客や都市部で人出が戻りつつあったが、7月には再び感染者数が急増傾向を見せ始め、7月末にはついに沖縄や東京などが自治体独自の緊急事態宣言を発令する状況にまで出戻ってしまった。
一時期には流行が落ち着いたことから外出自粛の緩和が行われたが、それにより人の往来が戻り、緊急事態宣言時には接触のなかった人々が“すれ違う”機会が増えた。その結果、再び感染が拡大に向かうのは自然な流れのようにも思う。
一方で、緊急事態宣言により人の往来が減少することは、それだけ経済活動が停滞することも意味している。特に都市部の小売や飲食店は新型コロナの影響で大打撃を受けている。
本記事では国内外の小売店や飲食店の状況から、アフターコロナを生き抜くビジネスモデルを探る。
観光地・沖縄の7月は本来であれば観光の書き入れ時だが、今年に限っては土産物屋や飲食店が多数立ち並ぶ那覇の国際通りも人通りがほとんどなく、店は半数近くがシャッターを下ろして「無期休業」の張り紙をしていた。残った飲食店も営業時間を短縮したり、あるいは店内での飲食を禁止してテークアウトのみに切り替えたりと、ほそぼそと営業を続けている状態だ。特に那覇の繁華街で飲み屋や風俗店が立ち並ぶ松山地区ではクラスター(感染者集団)が発生したこともあり、沖縄県知事による緊急事態宣言が発令された7月31日以降は、特に営業体制が厳しくなっていると考えられる。
人の動きを制限しなければ感染が拡大するし、感染拡大を恐れて極度に制限を強めれば小売やサービス業は立ちゆかなくなる。筆者は専門家ではないが、最近では軽症あるいは無症状の感染者割合が高いとはいえ、ある程度の制限は許容しなければいけないと考える。感染範囲の拡大で重症化する患者が出るリスクがあり、医療リソースにも限りがあるからだ。
問題は制限と緩和のバランスで、感染拡大をある程度制御しつつ、必要に応じて緩和することでこれら事業者の活動を下支えすることが求められる。ビジネスを継続する上では、こうした状況が少なくとも今後数年単位で続くことを念頭に置くべきだ。
一時期「アフターコロナでも生活は何も変わらない」という声も聞こえたが、制限と緩和の波が今後続けば続くほどビジネスの持続性は厳しくなり、脱落者が続々と出てくることから、望むと望まざるとにかかわらず、変わる世界を受け入れなければならなくなる。備えあれば憂いなしとはよくいうが、心構えのあるなしでこの荒波を生き残れるかが変わってくるはずだ。
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