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「三体」「黒暗森林」「死神永世」人気大河SF三部作がNetflixで実写ドラマに

» 2020年09月02日 19時34分 公開
[松尾公也ITmedia]

 米Netflixは9月1日(米国時間)、中国のSF作家・劉慈欣(リュウ・ジキン)のSF小説「地球往時」シリーズをNetflixオリジナルシリーズとして映像化すると発表した。今後数年かけて、シリーズ全体を実写ドラマとして公開する。

 地球往時シリーズ第1作「三体」は、文化大革命の騒乱に始まり、科学の発展を軸としながら異星人とのファーストコンタクトを壮大なスケールで描いた作品。アジア人作家による小説として初めてSFで最も権威あるヒューゴー賞を受賞した。三体は2019年に日本語版が出版されベストセラーとなり、20年には続編である「黒暗森林」も国内発売。21年にはシリーズ最終巻「死神永世」の日本語版も予定されている。

photo 地球往時三部作(英語版)

 地球往時シリーズは巻を重ねるごとにスケールアップし、黒暗森林と死神永世で、地球人は知力を尽くしてそれぞれ全能とも思える相手に生き残りのための戦いを挑む。そのスケールがあまりに大きすぎるため、特に「死神永世」では映像化は困難ではないかといわれているが、Netflixの潤沢な予算と、史上最高のドラマと評された大河ファンタジー「ゲーム・オブ・スローンズ」の複雑なプロットを丁寧に構築し成功に導いたデビッド・ベニオフとD・B・ワイスが脚本と製作総指揮を担当することで、期待は大きい。

 原作者の劉慈欣と英語版の翻訳を担当したSF作家・ケン・リュウもコンサルティングプロデューサーとして参加する。一方、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」の演出やプロットでファンや一部出演者から不評を買ったライアン・ジョンソン監督が製作総指揮の一人として参加している点を不安視する向きもある。

 「劉慈欣の3部作は、私たちが読んだSFシリーズでの中で最も野心的な作品であり、1960年代から世界の終末まで、この青く小さな地球から遠い宇宙の彼方(かなた)まで、読者を長い旅路に連れ出してくれます。私たちは、今後数年間かけて本作を世界中の視聴者に届けることをとても楽しみにしています」とするゲーム・オブ・スローンズのコンビは、死神永世の劇的なラストに至るまで描ききるビジョンを既に持っているようだ。

 なお、Netflixは中国製作による劉慈欣原作のSF映画「流転の地球」(2019年作品)も独占配給している。

photo 流転の地球

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