PCは当面好調だ。教育とテレワークによってニーズに対する見方が大きく変わってきたからだ。
正直な話をすれば、日本において「PC不要論」がなぜここまで広がってしまったのか、よく分からない部分がある。仕事以外にプロダクティビティを要する作業が少なく、それらはPCがなくてもいい……という誤解はそろそろ解消されないといけない。スマートフォンでもタブレットでもプロダクティビティの高い使い方はできるが、PCでやるよりずっと高いリテラシーを必要とするのは、ご存じの通りである。
一方で、デバイスとしてのPCやタブレットの変化は、今年の年末よりもうすこし先のことになるだろう。
変化の軸は「x86対Arm」だ。AppleがApple Siliconに移行し、Windowsでも Arm系採用拡大の動きが見える。5Gとの関係もあり、「どこでも通信ができて消費電力が低い」PC(Mac)は増えるだろう。ソフト互換性の問題はもちろんあるが、数年である程度の解決に落ち着くのは間違いない。本格的に「CPUも含めてPCを選ぶ」時代がやってくる。
実のところ、コロナ禍以降の「移動が減る」という影響は、PCに大きなインパクトがある。モバイル的なデバイスのニーズが落ちるからだ。移行が強制されるMacはともかく、Windowsについては、よりパワーがある低価格な製品をx86系(IntelだけでなくAMDかもしれないが)の製品が選ばれる可能性は高い。だから、Arm系プロセッサを広げようとしているQualcommの狙いは、そこまでうまくいかない可能性もある。
個人向けPCにおける「ゲーミング」用途の拡大も見逃せない。数量の増加により、ゲーミングノートPCの価格も10万円台に下がって、かなり一般的なレベルになってきた。Intelの第11世代Core iプロセッサや、AMDのRyzenに内蔵されるGPUも、ゲーミングPCの人気に引きずられるように向上している。
Arm系を使うMacも、パワーを落としては意味がない。「モバイルではあるが実はパワフル」な製品になるのは間違いない。
こうした部分も含めた「PCのパワー向上」は、今以上に、来年に向けて明確になるだろう。選択の難易度は上がるが、来年は「PC周りが面白い」年になる。
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