RISCの始まりから現在までを歴史的に解き明かしていく連載もいよいよ最終回。今回はRISC-V開発チームが賛同企業を勝ち取ってエコシステムを構築していく様子と、Armとのライバル関係など現在の課題について、大原雄介さんがまとめてくれた。
さて、そんなわけでRISC-Vの生みの親であるUC Berkeley(米カリフォルニア大学バークレー校)のカーステ・アサノビッチ教授がRavenシリーズやEOSシリーズの開発というか設計を指導しつつ、RISC-Vの命令セットを定めながら、同時に行っていたのが組織づくりである。もっとも、いきなり組織を立ち上げても誰も参加しないのは目に見えているので、まずはRISC-Vそのものを知ってもらう努力をしなければならない。
写真1はRISC-Vのタイムラインである。ここではRISC-V Foundation(現RISC-V International)を2015年に立ち上げたとしているが、実際の動きは2014年に始まっていた。
2014年のHot Chips会場で、RISC-V Team(要するにUC Berkeleyでアサノビッチ教授と一緒にRISC-Vの開発や研究をしていたメンバー。写真2)は、RISC-VのWebサイトを2013年7月に立ち上げていた(最初のエントリーはこれ)が、これをもっとアピールしやすい形に修正(写真3)。
さらにHot ChipsのSilver Sponsorとなり、ポスター展示と併せて会場の外に設置されたスポンサーブースでRISC-Vの啓蒙活動(写真4)に勤(いそ)しむという、なかなか牧歌的というか地道な努力をしていた。
Hot Chipsはコンピュータ業界の中でも、特にプロセッサに関わるエンジニアや研究者が集まる学会なだけに、その効果は大きいものがあると思ったのだろう。そして2015年1月には初のワークショップも開催されている(写真5)。
実はこのワークショップはいろいろと面白い。セッションの内容はこちらにあるが、ChiselベースのSoCジェネレータである「Rocket Chip」など、それまでUC Berkeleyで開発されてきたものだけでなく、インド工科大学マドラス校で開発されている「Shakti Processor」や、現在もしばしば話題に出てくる「lowRISC」などもここで説明されている。水面下でRISC-Vの広範な普及に向け、この時点でいろいろと動いていたことが推察できる。
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