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大学オンライン講義、対面式より人気 「私語がない」「自分のペースで学べる」 東洋大が調査(1/2 ページ)

» 2020年10月14日 20時30分 公開
[谷井将人ITmedia]

 オンライン講義は対面式の講義より学生の人気が高い――東洋大学の松原聡教授が10月14日、そんな調査結果を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大防止策として各地の大学が実施しているオンライン講義を巡り、学生からは「私語がなくていい」「自分のペースで学習できる」などの意見が出たという。

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 調査は東洋大学を含む15の大学で、文系の一般教養科目(講義形式)を受講した学生1426人を対象に7月に実施。過去に受けた対面式の講義と今春に受けたオンライン講義を比較した印象などを調査した。対面授業を経験していない1年生は調査対象外とした。

 「同じ内容の講義を受ける場合、オンライン講義がいいか、対面式がいいか」という質問には、オンライン講義を希望した学生が40%と、対面式を希望した33%を上回った。

 学生が感じたオンライン講義のメリットは「通学時間がかからない」(82%)、「自宅で学習できる」(68%)、「教室移動がない」(61%)など移動時間に関するものが多かった。動画や資料を配信して自由な時間に受講できるようにする「オンデマンド型」の授業には「自分のペースで学習できる」(66%)という利点もあった。

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 一方、「通信や機材のトラブルで音声や動画が途切れる」(39%)、「教員ごとに使うWeb会議アプリが異なる」(36%)、「教員とのコミュニケーションが減った」(57%)といったデメリットを挙げた学生もいるという。

オンライン講義の評価から見える対面式の問題点

photo 東洋大学の松原聡教授(経済学部)

 松原教授は、オンライン授業のメリットを調べる中で、対面式の講義の問題点も浮き彫りになったと話す。

 「対面式と比べ、オンラインの方が学習効果が上がったと思う講義はどれくらいあったか」という質問には、38%の学生が「多くある」「やや多くある」と答えた。学年別で比較すると、多くある、やや多くあると答えた学生の割合は2年生が33%、3年生が40%、4年生が52%と、学年が上がるごとに評価も上がっていると分かった。

 これについて松原教授は、在学期間が長ければ対面式の講義の経験数が必然的に上がることから「(もともと)対面式の講義の評価が(学年が上がるごとに)徐々に下がっているのではないか」と推測する。

 学生が挙げたオンライン講義のメリットの中には「私語がない」「教室での講義より集中できる」という意見もあったという。松原教授は「これらは対面式の課題だ」とした。

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