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大学オンライン講義、対面式より人気 「私語がない」「自分のペースで学べる」 東洋大が調査(2/2 ページ)

» 2020年10月14日 20時30分 公開
[谷井将人ITmedia]
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「教員が感じた苦労と、学生が思う学習効果にはあまり関係がない」

 調査では学生へのアンケートに加え、調査に参加した教員20人にもアンケートを行った。教員がオンライン講義の実施に向けて従来より多くの時間を掛けて取り組んだことが明らかになった。講義の準備時間が減ったと答えた教員は0人で、全員が「増えた」「どちらでもない」としたという。

 一方、調査では教員が講義の準備に掛けた時間と学生が思う学習効果には明確な相関がないことも分かったという。

 準備時間が「とても増えた」と答えた教員の講義に参加した学生のうち、学習効果が上がったと答えた学生の割合は41%、「やや増えた」とした教員の講義では36%、「どちらでもない」とする教員の講義では56%だった。

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 松原教授は「先生の苦労は教育の中身というよりデバイスや通信環境、講義動画の準備が主になっていたのでは」と分析する。講義をオンライン化するにあたり、教材のデジタル化などの負担が増え、教員としては苦労したが、教育の内容までは手が付けられなかったと推測。一度教材をデジタル化してしまえば、今後教員の負担感が元に戻る可能性もあるとしている。

 講義内容については学生から「対面式以上に授業をコントロールできない教員がいる」「講義資料を配るだけの教員がいる」など厳しい意見もあった。講義への不満から「授業料は減額すべき」「教員も不慣れだったため授業料を無駄にしたと感じた」とする声もあったという。

速やかに対面式に戻すべきか、オンライン講義を続けるべきか

 大学のオンライン講義実施の流れは、新型コロナの感染拡大防止の一環として広まった面もあり、ある程度感染拡大が収まった場合には従来通り対面式に戻すべきという意見もある。

 一方、調査に参加した教員からは「(アクティブラーニングなど)講義形式によってはオンラインの方が適している」というメリットも指摘されたという。

 松原教授は、オンライン講義の方が対面式より人気だったことから「結果を見ると単純に対面に戻すだけでなく、幅広く考えるべき」としており、「速やかに対面式に戻すべきか、オンラインを続けるべきかは議論しないといけない」と呼び掛けた。

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