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マスクの新型コロナ防御効果が明らかに 布マスクで吸い込むウイルス量が2〜4割減 東大が発表

» 2020年10月22日 11時08分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 東京大学は10月22日、実際の新型コロナウイルスを使用した実験でマスクに一定の防御効果があることが分かったと発表した。布マスクは吸い込むウイルス量を60〜80%に、医療用のN95マスクでは10〜20%に減らす効果があった。ただし、適切に装着しないと効果は低下するという。

実験設備

 東京大学医科学研究所感染・免疫部門ウイルス感染分野の河岡義裕教授らの研究グループは、人工呼吸器で人と同じように呼吸するマネキン2体を特殊なチャンバーに設置し、吸い込むウイルス量を調べた。どちらもマスクなしでは1m離れてもあまり減らなかったが、吸い込む側のマネキンに布マスクを装着すると吸い込むウイルス量は60〜80%に、N95マスクを正しく装着すると10〜20%に減った。

どちらもマスクなし(画像=左)と吸い込む側のマネキンがマスクをした場合(画像=右)

 一方、吐き出す側のマネキンにマスクを装着すると、吸い込むウイルス量は大きく低下。さらに双方がマスクを装着することで吸い込み量は相乗的に減った。このため研究グループは「マスクにはウイルスの吸い込みを抑える働きより、対面する人への暴露量を減らす効果が高い」としている。

吐き出す側のマネキンにマスクを装着すると、吸い込むウイルス量は大きく低下する

 新型コロナウイルスは、会話などの飛沫やエアロゾルで感染が広がったと見られており、感染予防のためにマスク着用が推奨されている。しかし、実際に空気中を浮遊するウイルスに対してマスクがどの程度の防御効果を持つのかは分かっていなかった。

 研究成果は10月21日(米国時間)付の米国科学雑誌「mSphere」オンライン版で公開した。

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