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普段通りの掃除が新型コロナ対策に 界面活性剤の使い方、NITEに聞く

» 2020年05月26日 09時40分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 経済産業省は5月22日、新型コロナウイルス対策の一環として、人が触れる場所や物(ドアノブなど)の消毒に有効と分かった界面活性剤とそれを含む洗剤のリストを公開した。経産省の要請を受け、検証を主導した独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、「消毒用アルコールの代用品として差し支えない(問題ない)」としている。

花王「かんたんマイペット」の製品情報(花王サイトより)

 リストにある洗剤のうち、もともと住宅用として売っている製品については、ラベルや製品情報サイトなどにある正しい使い方に沿って使用する。例えば花王「かんたんマイペット」の場合、「除菌はスプレーして5分置き、ふきとる」。高濃度アルコール(濃度により15秒〜1分)に比べると時間はかかるが、「普段通りの掃除がそのまま新型コロナ対策になる」という。

 洗剤リストと同時に経済産業省が公開した啓発ポスターには、「スプレーボトルでの噴霧は行わない」とあるが、これは住宅用洗剤が手元になく、台所用洗剤で代用する場合の話だ。「スプレーボトルの住宅用洗剤はそのままスプレーしても問題ない」。

台所用洗剤は薄めて使う

界面活性剤の種類と濃度は製品ラベルに書いてある。台所用洗剤は濃度が高いため薄めて使う(写真は花王キュキュット)

 「ジョイ」や「ママレモン」といった台所用洗剤の場合、家具などのふき掃除は本来の使い方ではない。界面活性剤の濃度が高く、家具の消毒にはうすめて使う必要がある。このためポスターの製作にあたっては洗剤メーカーと協議の上、安全で効果的な使い方を検討した。

 使い方は、1)洗剤うすめ液を作る。たらいや洗面器などに500mlの水をはり、台所用洗剤を小さじ1杯(5g)入れて軽く混ぜ合わせる、2)キッチンペーパーや布に溶液を染みこませ、ドアノブなど消毒したい物の表面をふき取る、3)5分程度待ってから水ぶきをする、4)キッチンペーパーなどで乾ぶきをする。なお、水に薄めた洗剤(うすめ液)は時間が経つと効果がなくなるため、作り置きをしない。

台所用洗剤で代用する場合の手順

 界面活性剤は、界面(物質の境)に作用し、性質を変化させる物質の総称。その一部は新型コロナウイルスの持つエンベローブと呼ばれる表面の膜に作用して破壊、感染力を持たない状態にする(不活化)という。

 アルコール消毒液が不足する中、経産省の要請を受けたNITEは、国立感染症研究所、学校法人北里研究所と共同で実際の新型コロナウイルスを使った検証を行い、ウイルスを5分以内に不活化した5種類の界面活性剤を22日に公開した。検証は現在も続けており、有効な界面活性剤の追加などがあれば随時情報を更新する予定だ。

新型コロナウイルスの消毒に有効な界面活性剤(濃度)

  • 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.1%以上)
  • アルキルグリコシド(0.1%以上)
  • アルキルアミンオキシド(0.05%以上)
  • 塩化ベンザルコニウム(0.05%以上)
  • ポリオキシエチレンアルキルエーテル(0.2%以上)

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