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» 2020年05月12日 16時52分 公開

「あくまでもお酒」から「飲用不可」へ 酒造所の高濃度アルコール製品に変化

アルコール消毒液の代替品として、酒造会社が相次いで高濃度アルコール製品を発売する中、そのラベルにちょっとした変化が起きている。理由は酒税だ。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 アルコール消毒液の代替品として、酒造会社が相次いで高濃度アルコール製品を発売する中、そのラベルにちょっとした変化が起きている。4月に発売した製品は「お酒」と書かれていたが、5月に入ってから「飲用不可」とする製品が増えた。理由は酒税だ。

福岡県の酒造会社、天盃の高濃度アルコール製品「TENPAI66」は、ラベルに大きく「飲用不可」と書いた(天盃のWebサイトより)

 医療現場で手指消毒用のエタノール不足が深刻化していた3月、明利酒類(茨城県水戸市)の「メイリの65%」や菊水酒造(高知県安芸市)の「アルコール77」が相次いで登場した。当時は高濃度エタノール製品であっても法制上の分類は「お酒」のため、「消毒や除菌を目的に製造されたものではありません」という注意書きを入れなければならなかった。

 3月23日、厚生労働省は時限措置として、医療機関が70%以上の高濃度エタノール製品を手指消毒に用いることを認めた。4月22日には60%台でも一定の効果が認められたため対象製品を拡大。これにより酒造会社の高濃度エタノール製品も多くが「消毒用エタノールの代替品として手指消毒に使用できる」と表示できることになった。

 しかし、お酒である限りは酒税がかかる。例えば若鶴酒造(富山県砺波市)が4月13日に出荷を始めた「砺波野(となみの)スピリット77」は300mlで880円(税別、以下同)だが、このうち231円が酒税。笹一酒造(山梨県大月市)の「笹一アルコール77」は500mlで、小売価格の1200円のうち385円が酒税だ。手指消毒のために高濃度アルコールを大量に消費する医療機関には負担が大きい。

若鶴酒造では、医療機関や介護施設に高濃度アルコールを優先的に供給するため、日本各地の酒造会社に声を掛け、高濃度アルコール製品の情報をWebサイトにまとめている(若鶴酒造のWebサイトより)

 こうした要望を受け、国税庁は5月1日、厚生労働省の時限措置が有効な期間に限り、「高濃度エタノール製品に該当する酒類のうち、一定の要件を満たし、飲用不可の表示を施したものについては酒税を課さない」と発表した。これが「飲用不可」表示の高濃度アルコール製品が出てきた理由だ。

 久米仙酒造(沖縄県)は5月8日、「消毒用エタノール 78度」と「消毒用エタノール 67度」を発表した。価格は500ml・78度が1060円で(67度は956円)、5月25日以降に発送を始める。商品説明には「消毒用エタノールは、酒税のかからない飲用不可商品です。新型コロナウイルス対策のための手指消毒用、除菌用として使って下さい」と書いた。

久米仙酒造の消毒用エタノール(久米仙酒造のWebサイトより)

 天盃(福岡県朝倉郡筑前町)が5月13日に出荷を始める「TENPAI66」は、ラベルに大きく「飲用不可」と表示した。66%の高濃度エタノールで、価格は500mlで1000円だ。

 15日までの移行期間は、これまでのラベルのまま酒税なしで販売できるケースもある。前述の若鶴酒造では、66%の「砺波野スピリット 66」を酒税なしの1本664円で医療機関などに向けて販売している。今後、ラベルを「飲用不可」に変更して継続的に出荷する考えだ。

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