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» 2020年10月25日 08時13分 公開

Googleさん:「Google検索は競争を阻害している」のか? 米司法省とGoogleの言い分を整理してみた (1/2)

米司法省がGoogleを独禁法違反で提訴しました。これから長くなりそうなので、訴訟の要旨をまとめてみました。

[佐藤由紀子,ITmedia]

 米司法省(DoJ)と複数の州がついにGoogleを独禁法違反で提訴しました。

 doj 司法省のアナウンス

 昨年秋に調査始まっていたし、米議会下院司法委員会独占禁止法小委員会の読み応えのある報告書も出ていたので、驚くことではないですが、Microsoftに対する独禁法訴訟と同じくらい長く掛かりそうなので、今回の「Googleさん」でDoJの言い分とGoogleの反論を簡単に紹介しておきます。

 訴状Googleの反論公式ブログもすごく長いので、訴状の「NATURE OF THIS ACTION」の部分と、Google公式ブログの頭とお尻の部分を意訳しました。意訳なので、正確な内容が知りたい方はお手数ですが原文にあたってみてください。

 まずは、司法省の言い分。

NATURE OF THIS ACTION(抜粋の意訳)

 検索エンジンを普及させる一番てっとり早い方法は、スマートフォンとPCで検索しようと思ったときに使えるようにしておくことだ。ユーザーというものは、たとえ使える検索エンジンを自分で変更できるようにしてあっても、そんなことはしない生き物だ。だから、デフォルトで設定されている検索エンジンが、事実上の独占的なサービスになる。特にスマートフォンの場合はこれが顕著であることは、Google自身も認めている。

 Googleは、Androidアプリの強制的な抱き合わせプリインストールを含む排他的協定で、競合する検索エンジンをブロックしてきた。GoogleはGoogle検索をデフォルト検索エンジンにしてもらうために、Apple、LG、Motorola、Samsungなどの人気スマートフォンのメーカー、AT&T、T-Mobile、Verizonなどの大手通信キャリア、MozillaやOperaなどのWebブラウザメーカーを含むディストリビューター(サービスを提供する人という意味)に毎年数十億ドル支払っている。多くのケースで、ディストリビューターがGoogleの競合と取引することを明確に禁じている。一部のケースでは、ユーザーがGoogle検索を選ぶように、バンドルしたGoogleアプリを端末の目立つところに表示するよう求めている。

 こうしてGoogleはインターネット検索の競争を排除した。競合は必要な提供手段と認知度を上げる機会を断たれ、Googleに挑戦するチャンスがない。Googleが独占的な地位にあることは、「Google」という言葉が「ネット検索する」という意味の動詞として使われていることからも明らかだ。

 Googleはこうして独占した検索サービスに広告を出すことで儲けている。消費者が入力した検索クエリと消費者の個人情報を使うことで、効果的な広告を販売する。米国だけでも、広告主はGoogleの検索結果ページに広告を表示させるために年間約400億ドル(約4兆2000億円)を支払っている。Googleが検索エンジンのディストリビューターに支払っているのは、この独占によって得た収益からだ。この巨額の支払いが、競合の参入障壁になっている。特に、革新的な技術は持っていても資金のない企業にとってはそうだ。Googleはこうした排他的な見返りと、以下に説明するその他の反競争的行為を通じて、複数の市場で継続的で自己強化的な独占を生み出してきた。

 Googleの反競争的慣行は、ライバルが効果的に競争するための規模になれないようにしていることで、さらに有害だ。効果的な検索広告システムを構築するためには、高度で複雑なアルゴリズムが必要だ。アルゴリズムの構築には膨大で多様なデータの学習が必要だ。Googleの元CEO(エリック・シュミットのこと)はかつて、Google検索の最大の強みを問われ、「規模が鍵だ。われわれはかなりの規模のデータを持っている」と語った。ディストリビューターとの契約を利用してこの規模を保持することで、Googleは違法に独占を維持している。


 そして、Googleの言い分。

Googleの「A deeply flawed lawsuit that would do nothing to help consumers」より抜粋意訳

 司法省の言い分は、人々がGoogle検索を手軽に使えるようにしようというわれわれの努力を批判する、独禁法としては疑わしい論拠に立っている。

 もちろんわれわれは、ビール会社が自社ブランドビールを商品棚の一番目立つ位置に置いてもらうためにスーパー(=ディストリビューター)にお金を払うのと同じように、サービスを宣伝するためにお金を使っている。デジタルサービスの場合は、例えばスマートフォンのホーム画面が商品棚の目の高さの位置に当たる。その位置は、スマートフォンの場合は、Appleなどの端末メーカー、Verizonなどの通信キャリアが、PCの場合はMicrosoftが管理している。

 だから、われわれはこの目立つ棚位置を確保するためにこれらの企業と交渉する。ただし、はっきりさせておきたいのは、われわれのライバルも棚位置が欲しければ同じことができる。

 Appleなどのディストリビューターとの契約は、多くのソフトウェアメーカーが昔からやっていることと同じだ。MicrosoftのBingを含む他の検索エンジンもこうした契約でわれわれと競合している。それに、われわれの契約は何度も独禁法の審査に合格している。

(ここから具体例を挙げての反論が続く)

 重要なのは、人々がGoogleのサービスを使うのは、強制されたからではなく、自ら選んでのことだという点だ。使うサービスを変更するためにソフトのCD-ROMを買ってインストールしなければならなかった90年代とは違う。人々は使いたいアプリを手軽にダウンロードし、一瞬で初期設定を変更できる。スーパーで別の棚まで歩いていくより簡単だ。

 この訴訟は、アメリカ人が(目立つところにあるビールではなく、自分の好きなビールを買うために)別の棚まで歩いていけないほど無知(not sophisticatedなのでニュアンスは違うかもですが)だと主張する。だが、われわれはそんなことはないと知っている。2019年中のアプリのダウンロード回数は記録更新の2040億回だった。世界で最も人気のあるアプリ、たとえばSpotify、Instagram、Snapchat、Amazon、Facebookはプリインストールされていない。

(さらにアプリについての反論が続き、しめくくりは以下の通り)

 われわれの成功が精査されることは理解しているが、自身の立場を支持する。米国の独禁法の目的は、イノベーションを促進し、消費者を支援することであり、特定の競合他社に有利に競争を傾けたり、人々が望むサービスを利用しにくくしたりすることではない。われわれは、裁判所がこの訴訟は事実とも法律とも一致しないという結論を出すと確信している。

 結論が出るまで、われわれは米国人の皆さんの日常を支援する無料サービスの提供への注力を続ける。それがわれわれが最も重視していることだからだ。


(商品棚の例は、オリジナルは例としてシリアルだったんですが、ビールに変えました。)

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