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VR風俗で“初めて”を捨ててきた “疑似”だからこそのめくるめく性体験 開発の背景は(3/3 ページ)

» 2020年10月26日 11時00分 公開
[吉川大貴ITmedia]
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機材トラブルなど、VRだからこそのデメリットも

 一方で、VRだからこそのデメリットもある。X-Oasisでは性サービスの全てをバーチャル空間で提供しており、キャストは声や動きだけで利用者を満足させなければならない。これらのテクニックは研修を通してキャストに教えているが、現状ではKarinさん以外に指導できる人がいないという。

 機材トラブルもその1つだ。X-Oasisのキャストはトラッキングに台湾HTCの「Viveトラッカー」を使っている。だが、このトラッカーは充電式。万が一、サービス中に電池切れしてしまうと、アバターを動かせなくなる。

 過去には、利用者がiPhoneの一部機種とイヤフォンなどを同時に使ったときだけ、音声にトラブルが起きることもあった。現在は解決済みだが、映像・音声の配信システムを入れ替える必要があったという。

資金源に苦戦も、クラウドファンディングで状況を打開

 Karinさんによれば、X-Oasisはもともと、VR交流サービス「VRChat」で集まったメンバーなどで立ち上げた企画という。当初は内部で運営資金を出し合う予定だったが、集まったのは110万円ほど。継続した運営を目指すには、外部から追加の出資が必要だった。そこで他の企業や投資家などに出資を募ったが、性サービスであるという理由でなかなか賛同を得られなかったという。

 だが、ショップ作成サービス「BOOTH」を利用したクラウドファンディングを5月29日〜6月7日に実施したところ、予想外の反響があり、141人から305万7500円を調達。運営資金を確保し、8月のサービスインにこぎつけた。現在は法人化しており、スポンサーも1社ついているという。

 とはいえ、Karinさんは「持続可能なビジネスとして、黒字経営にはまだ遠い状況」としている。今後は認知度の向上やキャスト拡充に力を入れ、利用の拡大を目指す。年内には「HTC VIVE」「Oculus Rift/Quest」などのハイエンドVRにも対応する予定。

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