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» 2020年10月29日 11時39分 公開

「シンギュラリティはSFめいた話」──人工知能学会会長が切る“間違ったAIのイメージ”と正しいAI研究の姿第1回 AI・人工知能EXPO【秋】(3/3 ページ)

[石井徹,ITmedia]
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“知能”を定義せずにシンギュラリティは語れない

 AIが発展すると、人間の知能を超える「シンギュラリティ」が訪れるといわれている。「2045年にAIが人間の知能を超える」という予測もある。

 だが、野田会長はこの主張を「SFめいた話だ」と切って捨てる。「そもそも“知能”が何を示すのか、定義をせずに語っても意味が無い」という。「仮に知能が計算力を指しているのであれば、80年代からとっくに人間の能力を超えていることになる」(野田氏)

 実はこの「知能とは何か」を考えるのは、人工知能学の根源的なテーマだ。人工知能学はそもそも人の知能の再現からスタートした。その領域には、人間の体にまつわる理学的な研究から、ロボットのような工学的な研究、そして情報科学まで、幅広い科学分野が含まれている。ディープラーニングの研究は、人工知能学の中でもごく一部にすぎない。

 人工知能学会は、人工知能学を俯瞰できる「AI技術マップ」を制作している。その中心にあるのが、「知能とは何か」という研究だ。

人工知能学会がまとめている「AI技術マップ」のうちの1枚(人工知能学会より)

 「多くの科学は基礎的な積み上げから応用に発展していくが、人工知能学は真逆の構造となっている。周辺分野の厚みを増して、知能とは何かという中心のテーマを追い求めている」(同)

 野田会長の主張に沿えば、シンギュラリティを考えられるのは「知能とは何か」という根源的テーマに答えが出てからになりそうだ。

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