それよりも恐るべしなのは、DualSenseワイヤレスコントローラーだ。これはやばい。このハプティックフィードバックは3D音響のTempestとあいまって、その世界に没入させてくれる。ちょっと目を離せば現実空間がそこにある非VRなゲーム世界において、バーチャルな空間をちゃんと感じさせ、なおかつそこから離さないというのはなかなか難しいものだが、音と触感だけで材質や硬さ、位置を感じさせてくれ、ゲームへの没入を助けてくれる。
気をそらすものが山ほどあるこの世界では、現実と折り合いをつけながら、ゲームを続けさせるのはなかなかの難かしい。PS5で取り入れられた工夫の多くは、「現実との共存環境においてゲームを心地よく継続させること」の一点だけを目指しているのではないだろうかと考える。「現実から引きはがされる」のを食い止めてくれるわけだ。
排気音についてもそうだ。同じゲームをPS4とPS5で走らせて、音量を比べてみたが、PS4(初代モデル)はハードディスクのディスクアクセス音、ファンノイズが大きくなったり小さくなったりで、気が散ってしまう。PS5はプレイ中にこういった騒音を感じ取ることはほぼない。PS4の背面は直接触ろうとは思わないくらいの熱さになるが、PS5の背面はほんのり暖かくなる程度で触っても問題ない。横置きにした場合には中央のちょっと奥あたりが少し暖かくなるが、そのくらいである。
筐体が大きくなったこと、上にモノを載せられない曲面を描いていることには賛否両論あるが、少なくともノイズと熱対策には成功しているといっていいだろう。
「ユーザーがゲームを継続しやすくする」ためのシステムもPS5の大きな改善点だ。コントローラーの左上にあった「SHARE」ボタンは「CREATE」ボタンと名を変えた。CREATEボタンのダブルクリックでスクリーンショットを撮る機能はこの記事を作るのにも役立っている。
「PS」ボタンは、長押しと短いプレスとで、異なる動作をする。従来の使い方である、ホーム画面に戻るのは長押し。短いプレスでは、ゲームをポーズして、現在の状況を知らせる「アクティビティ」というカード型の画面が横並びでオーバーレイされる。これが「コントロールセンター」だ。
重要なアイテムをどの程度取れているか、まだアンロックしていないものがあるかどうか一覧できる。ちょっとこの場面はつらいな、と思ったら気楽にプレイできる別のステージにジャンプすることも簡単にできる。「ゲームをいったん中断したら、その後なんとなくやりづらくなってそのまま」なんてことが少なくなるのではないだろうか。
PS5ゲームのテンポの良さは、もう1つのPS5ローンチタイトル、「Marvel’s Spider-man: Miles Morales」でも体感できた。ピーター・パーカーの友人で、自身もスパイダーマンとなったマイルズ・モラレスを主人公としたストーリー。PS4版で人気のあった「Spider-Man」シリーズの最新作だ。
これがなかなか楽しい。前作のSpider-Manも未プレイだったのだが、軽快なリロードのおかげか、失敗を繰り返しながらもだんだんと操作に慣れていく。ウェブを投げてスイングしてビルからビルに渡っていくところは、4Kの高精細なグラフィックスのせいでゾワゾワする。
こういう強い世界観を持った作品は、原作の熱烈なファンでないとなかなか入り込みにくいものだが(個人的に)、小さなミッションに小分けされているのでクリアしていきやすい、初心者にも優しいスタイル。アクティビティーでその到達度をチェックしたり、飽きたら別のミッションに移るということもやりやすい。こうしたことをゲームが独自に実装するのではなく、システムレベルで提供しているのがPS5の優れているところと言っていいだろう。
ゲーム実況やチャットも、ゲームプレイから離れずにできる。これはゲームセントリックなOSなのだな、と改めて思った。
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