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「新型コロナウイルスのワクチンって大丈夫なの?」 Google最高保健責任者の医師が現実的な見通し示す

» 2020年11月12日 17時19分 公開
[笹田仁ITmedia]

 米Googleは11月10日、世界数カ国が開発に取り組んでいる新型コロナウイルスのワクチンについて一般市民が感じる疑問に、同社の最高保健責任者を務める医師が回答するブログを公開した。本来はGoogle従業員からの疑問に答えるために作成したものだが、一般社会でも役立つ内容になっていることから公開を決めたという。

 質問に答えたのは同社のカレン・デサルボ医師。公衆衛生の専門家であり、米国保健福祉省で医療ITナショナルコーディネーターや次官補などを務め、2019年10月にGoogleに入社した人物だ。彼女はまた、全米予防接種プログラム局局長も務めたほど、ワクチンに関する深い知識を持っている。今回の新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大では、Googleの従業員に対処法などをアドバイスしているという。

photo Googleの最高保健責任者を務めるカレン・デサルボ医師(出典:Google)

開発は速いペースで進んでいるが、初期のワクチンは扱いが難しくなる

 デサルボ氏はまず、ワクチンを開発する一般的な手順を説明し、認可までには長い時間がかかるのが普通だと述べた。ただし、今回の新型コロナウイルスのワクチン開発では、一般的な手順のうちいくつかを同時並行で進めており、すでに製造と治験まで進んでいるワクチンもあることを指摘した。

 一方、最初の世代のワクチンは扱いが難しいものになりそうだとの見通しを示した。デサルボ氏によると、保管中だけでなく、輸送中も摂氏マイナス58度の環境を維持しなければならないという。そのため、初期のワクチンは低温保管できる環境が整った特別な施設でしか接種を受けられないとしている。ただし、ワクチンの改良が進めば、輸送や保管などの扱いも容易になっていくとも予測している。

photo 初期のワクチンは特別な設備が整った施設でないと接種を受けられない(出典:Google)

今冬にもワクチン接種が始まる? それでもソーシャルディスタンスなどが必要な理由

 さらにデサルボ氏は、これまでのワクチン開発のペースと、科学の進歩の速さを考えると、アメリカでは今冬にも認可を受けたワクチンの接種が始まり、その後それほど遅れることなく他国でも始まると予測。現在、世界では合計200種類以上のワクチンの開発が進んでおり、40種類以上が人間を対象とした治験の段階に入っている。同氏はその中でも、米Pfizer、米Modernaの2社がワクチン開発で他社に先行しているという。さらに、米Johnson & Johnson、英AstraZeneca(オックスフォード大学と共同開発)も注目すべき企業として挙げた。

 現在開発が進んでいるワクチンは、完全に感染を防ぐものではないともいう。インフルエンザウイルスのワクチンのように、予防接種を受けていても感染してしまうことはあるが、その場合でも軽い症状で済むというものになる。さらに、インフルエンザウイルスのワクチンと同じように、接種後に免疫ができるまでには6週間ほどかかると付け加え、ワクチンが実用化されても、ソーシャルディスタンスを保つことや、マスクを着用することは続けなければならないだろうと指摘。ワクチンが実用化されたとしても世界中で効果を発揮するには数年かかるという見通しも示した。

 副作用が見つかって治験が止まっているワクチンもあるが、これは心配すべきことではなく、安全なワクチンを実用化するために必要な過程だとデサルボ氏は指摘。また、ワクチンが実用化されたとしても、全世界の人に行き渡るだけの数がいきなり揃うわけではないのだから、先進国の国民は貧しい国々の人たちに譲る気持ちを持つことが大切だとも呼び掛けた。

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