ITmedia NEWS > AI+ >
ニュース
» 2020年11月27日 12時50分 公開

ウィズコロナ時代のテクノロジー:AIを活用する新型コロナウイルス対策 (1/2)

新型コロナウイルス感染症の広がりを防ぐためにAIを用いることが多くなってきているが、AIならではの危険性も指摘されている。

[小林啓倫,ITmedia]

 11月17日、米Googleが「COVID-19感染予測」というWebサイトを公開した。これは8月に米国で公開された、新型コロナウイルス感染予測サービス「COVID-19 Public Forecasts」の日本版で、日本で今後4週間に予測される死亡者数、陽性者数、入院・療養等患者数などをダッシュボードにまとめている。

 オリジナル版のCOVID-19 Public Forecasts は、Google Cloud AI と米Harvard Global Health Instituteが開発したもので、さまざまな公的組織や研究機関が公開しているデータを使用してAIを学習させ、予測を行っている。それに日本のローカルデータを与え、トレーニングして完成したのが今回のCOVID-19感染予測である。

photo COVID-19感染予測

 各方面で普及が進むAIだが、新型コロナウイルス対策も例外ではない。Googleのように感染予測に役立てたり、あるいは感染予防や治療に応用したりといったアイデアが登場している。今回は、そうしたAI活用を取り上げてみたい。

AIによるCOVID-19感染予測

 FacebookもGoogleと同様、AIをCOVID-19の感染状況を予測するのに役立てようとしている。10月20日の発表によれば、米Facebookは全米の郡(カウンティ)レベルの粒度で、今後14日間の感染の広がりを予測するアプリケーションを開発。そこではCOVID-19の症例データなど、各種の公開データに基づいてトレーニングされたAIを活用している。またこれもGoogleと同様だが、米国以外の地域にも同じアプリケーションを展開しようとしており、現在スペイン・カタルーニャ工科大学と提携して、同じ手法を欧州にも適用できないか検討しているそうである。

photo Facebookは郡(カウンティ)単位で米国のCOVID-19感染予測を行うAIを開発(Facebookのサイトより)

 こうした予測がなぜ必要なのか。さまざまな理由があるが、大きなメリットの一つは、それによって今後の医療体制を計画しやすくなるという点だ。つまり患者の急増が予想される地域に、あらかじめ医療リソースを手厚く配分しておくことで、不幸にもその予測が当たってしまった場合(AIの活用という観点からは成功だが)でも医療崩壊を回避できる可能性が高まるわけである。実際にFacebookは、ニューヨークやニュージャージー、さらにオーストリアの地元の専門家と協力して、彼らにローカライズされた予測モデルを提供。AIが生み出した情報に基づいて、病院やICU、人工呼吸器、マスクなどの医療リソースの対応計画が改善されたそうだ。

 また、より直接的に、特定の医療リソースの需要を予測することに特化したAIの開発も進められている。米国のレンセラー工科大学が取り組んでいるのは、特定のCOVID-19患者がICUを使用することになるかどうかを予測するアルゴリズムだ。このアルゴリズムでは、対象となる患者の胸部のCT画像と、人口統計データなど症状以外の情報を組み合わせて患者の今後の様態を予測する。その結果、重症化のリスクが高いと判断されれば、それに基づいてICUの使用計画を立てるというわけだ。こうした研究が進むことで、より効率的な医療リソースの準備・活用が可能になるだろう。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.