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» 2020年12月01日 19時00分 公開

ロボット配膳「焼肉の和民」、“非接触”セルフレジのくら寿司 コロナ禍の飲食店、勝機はIT&ロボット活用にあり (1/4)

「和民」ブランドから「焼肉の和民」へ全面転換したワタミ。配膳ロボットなどを活用してコロナ禍の難局を乗り越えようとしている。今回はワタミを始めとする各社への取材を通じ、テクノロジーとビジネスアイデアで飲食業がどう時代を生き抜いていこうとしているのかを紹介したい。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 以前の「コロナ前後で飲食チェーンはどれほど打撃を受けたのか 店舗数データで検証する」と題したレポートで、小売やサービス業の中でも外食産業が最もひどく新型コロナウイルスの影響を受けていることを、店舗数の推移から明らかにした。その結果、大型チェーンの店舗数の減少幅は1〜2%と大きく動いた様子はないものの、最も厳しい状況だとこれまでも報じられていた居酒屋とファミリーレストランは4〜5%と顕著な減少を見せていた。特に居酒屋については2018年ごろから減少傾向で、新型コロナでその傾向に拍車が掛かったとみられる。

「和民」ブランドを「焼肉の和民」に全面転換したワタミ 配膳ロボットなどを活用してコロナ対策を図る

 そうした中、外食チェーン大手のワタミは10月初旬に、同社の主たる「和民」ブランドの店舗を従来の居酒屋から焼肉店である「焼肉の和民」へと全面転換すると発表して話題になった。昨今のトレンドを考えれば、居酒屋という業態は対面で客同士が“密”な状態で料理を突き合うという性格上、新型コロナと極めて相性の悪い飲食形態ともいえる。このように、もともと業態自体に厳しい逆風が吹いていたことから「業態転換も止むなし」といった感想は抱くところだ。

 しかしワタミは、この時代を生き抜くための確かな勝算を持ち、新技術やアイデアの積極的な導入で難局を切り抜けようとしている。今回はワタミを始めとする各社への取材を通じ、テクノロジーとビジネスアイデアで飲食業がどう時代を生き抜いていこうとしているのかを紹介したい。

動画で見る新業態「焼肉の和民」とその勝算 最新の“密”対策は

焼肉の和民 大鳥居駅前店。ワタミ本社の道路向かいに立地する

 ワタミは10月に、それまで居酒屋として運営していた「和民」の120店舗全てを「焼肉の和民」へと転換するとともに、特急レーンと配膳ロボットの導入により接触率80%削減のコロナ対策を施した1号店として大鳥居駅前店をオープンしたと発表した。今回はこの大鳥居駅前店を訪問して、実際にどのように非接触を実現しているのかを取材した。

 大鳥居駅前店には特急レーンに隣接したテーブルと独立したテーブルの2種類がある。1〜2人利用を想定した、区切りのあるカウンター型テーブルも用意されている。実際には1人のみで焼肉屋に来店するケースは少ないようで、2人席を用意しておいて1人または2人で利用してほしいということのようだ。

店内の様子。夕方の営業時間開始のタイミングで取材を開始したが、すでに予約客をはじめ来店者が次々とやってきていた

 注文にはテーブル据え付けのタブレット端末を使い、特急レーンのあるテーブルであればここで注文した商品がトレイで運ばれ、独立したテーブルであれば配膳ロボットが配達するという流れだ。つまり、入店時と退店時以外のタイミングで店員と直接接触する機会がなく、他の客ともニアミスすることもないという点が特徴となる。

 他の席との敷居が高めに設定されている他、最新の排煙・空調設備により3分に一度空気が完全に入れ替わるという仕組みで、屋内でありながら、いわゆる「密」対策が十分に施されているわけだ。

特急レーンに隣接するテーブルではタブレットで注文した商品がトレイに載った状態でやってくる

 この配膳ロボットだが、今回取材した大鳥居駅前店では2種類が導入されている。店内には途中に段差があるため、そこを境に2つのエリアをそれぞれのロボットが分担している形だ。

 ロボットのベンダーもそれぞれ異なっており、ワタミの新町洋忠執行役員(焼肉営業本部 本部長)によれば「各ベンダー機器の実地検証も兼ねている」という。基本的にはロボットのホームポジションが決められており、そこに調理場から運ばれてきた商品がいったん集められる。店員がロボットに商品を載せてテーブル番号を入力し、ロボットが指定のテーブルまで商品を運んで戻ってくるという流れだ。

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