ロボットは賢く、人や障害物があれば自動的に避けて移動できる。ただ、動画からも分かるように大量のオーダーが入った状態では配達をさばききれないため「状況に応じて店員が直接テーブルに運ぶ場合もある」(新町執行役員)という。
接触機会は大幅に減らせるが、清掃を小まめにしているとはいえ「据え付けのタブレットを直接触る」ことに抵抗を感じる人もいるかもしれない。新町執行役員によれば、今後QRコードを表示して手持ちのスマートフォンなどで読み込ませることで、アプリのインストールなしにオーダーが可能な仕組みの導入を検討しているという。
このようにロボットなどを活用したコロナ対策を施したワタミだが、新町執行役員の話を聞いていると「焼肉の和民」のポイントはむしろビジネスモデルやターゲットの方にあると感じた。
新町執行役員によれば、取材時点でまだ3週間ほどしか経過していないものの、予約含め来店客は順調に推移しており、顧客からのフィードバックも良好なものが多いという。
ワタミグループの焼肉業態としては食べ放題を前面に打ち出した「かみむら牧場」があるが、値段と品質の面でバランスが取れているとして評価が高いようだ。特急レーンなどの仕組みもかみむら牧場からきているもので、焼肉の和民はそれを発展させたものといえる。
新業態での一押し商品は「ワタミカルビ」で、通常の赤身中心のカルビ肉とは異なり、脂身を多く含んで柔らかく味の出る比較的希少部位を用いているとのこと。こうした部位のメニュー化は契約農家から複数の一頭買いを行っている結果によるもので、この調達力を価格に反映させてグループ全体でメニュー開発していくというのがワタミの戦略だ。
焼肉の和民では、通常の焼肉屋には見られない居酒屋メニューや豊富なドリンクもそろえ、これらを手頃な価格で楽しめる食べ放題コースを設定している。
「意外なもので、このクラスの価格帯と品質で焼肉屋を展開しているチェーンはほとんどなく、ファミリー層まで含めて訴求力があると考えている」と新町執行役員は新業態の強みを語る。
「居酒屋の和民は駅前などの立地が中心だが、まずはベッドタウンや大きな駅がある周辺などに展開する。コロナ禍で在宅勤務をしている方々がちょっとした外食に夕方や夜間の時間帯に焼肉を楽しんでもらえればいいと思う」(同)
業態転換には2カ月ほど工事が必要とのことで、ターゲットとなるファミリーやビジネス層の多い店舗から順番に、2022年3月末までに焼肉の和民へと順次改装していくという。
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