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視点を変えても立体物がそこにあるように見える「Looking Glass Portrait」ディスプレイ、クラファン中(ただし、ホログラムではない)CloseBox

» 2020年12月04日 09時16分 公開
[松尾公也ITmedia]

 米Looking Glass Factoryは12月2日、縦型のボリューメトリックディスプレイ「Looking Glass Portrait」のクラウドファンディングをKickstarterで開始した。すでに目標金額を超えており、製品は2021年3月に配送予定。初回の48時間は通常価格より150ドル安い199ドルでプレッジできる(執筆時から13時間後まで)。日本への配送料金は20ドル。

photo Looking Glass Portrait

 ディスプレイサイズは7.9インチ。660g。視野角は58度で、45から100までの視点イメージが、見る角度によって変わる、ライトフィールド技術を使用している。複数のユーザーが周りに集まって、裸眼立体視できる。

photo ディスプレイの周囲に集まった人それぞれの視点で立体視できる
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 iPhoneなど深度データを同時に撮影できるスマートフォンを使って撮影したデータを元に、Looking Glass Portraitで表示できる画像ファイルに変換することができる他、MayaやBlenderなどの3Dソフトからインポートするためのプラグインが用意されており.obj、.stlなどの標準的3Dフォーマットにも対応している。Unity、Unreal Engineでのアプリ開発も可能だ。

 USB-CによりPCと接続してコントロールできるだけでなく、内蔵しているRaspberry Pi 4によってスタンドアロン動作もサポートしている。

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 なお、同社はこの技術を「ホログラム」「ホログラフィック」と称しているが、この用法は間違っている。同社ではボリューメトリックディスプレイという技術を一般の人にも分かりやすくイメージしてもらうためだと説明している。

私たちは「ホログラム」という言葉を、ボリューメトリックディスプレイという用語に馴染みがない方々にも、Looking Glass Portraitがどんな製品かをイメージできるようにお伝えするために使用しています。

 以前、同社CEOのショーン・フレインさんに、「これはホログラムじゃないですよね」と尋ねたところ、「分かってはいるんだけど、その方が特に米国市場では説明しやすいんだよね」と話していた。マーケティング的には「ホログラム」と呼称した方が売れるのだろう。

 この会社は面白いところで、ソニーがこれに近い技術の高精細空間再現ディスプレイ「ELF-SR1」を投入したときに、「Welcome, Sony. Seriously.」とぶち上げた。言うまでもなく、AppleがIBM PC登場に際して出した広告のパロディーである。

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 このとき「See you on December 2nd」と予告していたのが、Looking Glass Portraitだったというわけだ。

 筆者も199ドルでプレッジした。7年前に他界した妻の3Dイメージをこのディスプレイに映し出すのが目的だ。あと4カ月、ちょっとSF(Sukoshi Fushigi)っぽい再会をするのが楽しみだ。

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