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コロナ禍のJクラブ経営危機 “投げ銭”や“クラファン”に活路を見出したメルカリ鹿島の2020年(2/4 ページ)

» 2020年12月18日 20時06分 公開
[樋口隆充ITmedia]

地域との連携も強化 自治体や企業向けのDXコンサル事業が好調

 クラブでは、メルカリが経営権を取得後、ペーパーレス化の推進などデジタル化を推進。コミュニケーションツールにはSlackを使うなど親会社のメルカリとほとんど同じツールを活用し、数値管理などをしている。小泉社長によると、「組織が小さい分、メルカリよりも逆に進んでいるものもある」という。

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 クラブ内でデジタル改革を進める中、コロナによる中断期間は地域とのつながりを強化する期間にもなった。

 中でも好評なのが、地域の企業や自治体向けのDX化に向けたコンサル事業だという。クラブは8月にパートナー企業で、システム開発やエネルギー販売などを手掛ける茨城県内企業の関彰商事と共同で事業を立ち上げた。

photo DX化のコンサル事業を共同で立ち上げた

 コロナで業務のデジタル化が進む中、「どこから着手すればいいのか分からない」という地域の企業の経営者の声がきっかけだったという。

 「引き合いが多く、想定以上で驚いている。コロナの第2波、第3波で地域の人が業務のデジタル化を迫られる中、私たちも支援できることは多い」(小泉社長)

 クラブはまた、2月にメルカリと鹿嶋市の3者で、テクノロジーを使った地方創生に向けた包括連携協定に締結。テクノロジーを使った街づくりの実現に向けた枠組み「SmartCity X」にも参画し、市の中でスマートシティーの実証実験ができる環境を整えた。

photo 地域との関わり

 具体的な取り組みとして、政府が推進するGIGAスクール構想を念頭に、10月にパートナー企業と共同で鹿嶋市内の5つの小学校でプログラミング教室を開始。今後、順次拡大を検討する。循環型社会の実現のため、鹿嶋市役所でメルカリの使い方をレクチャーする「メルカリ教室」も開催した。

photo 地域発展への連携

 クラブは中期経営計画で売上高100億円の達成を目標に掲げている。これはヨーロッパ最強のクラブを決める「UEFAチャンピオンズリーグ」に出場するクラブの中でも最低ラインの規模だといい、世界を見据え、パートナー企業を積極的に活用することで、企業の売り上げをアップさせ、クラブ収益への反映を狙う。

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