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ジョージア州上院選挙前、有権者のFacebookの政治報道は選挙広告に押しやられた──The Markup調査

» 2021年01月06日 08時47分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米連邦議会上院の主導権の行方が決まるジョージア州の上院議員選挙が行われる1月5日(現地時間)、米Facebookの政治広告に関する調査結果を米非営利メディアのThe Markupが発表した。

 Facebookは昨年10月23日(米大統領選の投票日の1週間前)からプラットフォーム上への政治広告の掲載を停止していたが、12月16日に広告停止を一部解除した。その結果、ジョージア州有権者のニュースフィードは選挙関連広告で溢れ、政治関連の報道コンテンツを押しやったという。

 Markupはジョージア州で選挙権を持つ58人のFacebookユーザーの協力を得て、投票日までにFacebookのニュースフィードに表示されたコンテンツのデータを収集した。

 その結果、12月16日までは、政治関連のコンテンツはCNNやWall Street Journalなどの報道機関からのものだったが、広告停止解除後は、民主党と共和党の議員候補陣営やその他の政治グループからの政治広告が報道コンテンツを圧倒したことが分かった。

 Markupはまた、広告の中には不正確な情報もあったことを指摘した。例えば共和党のデイビッド・パデユー候補陣営が2万5000ドル(約260万円)を投じた広告は、対立候補の民主党ジョン・オソフ候補が「中国に買収されており、我が国の安全を脅かす方法を敵に提供するだろう」というもので、この広告はジョージア州で90万人以上のユーザーのニュースフィードに表示された。この主張は、ファクトチェッカーによって虚偽と判定されている。

 ad 共和党陣営による虚偽情報広告

 Facebookの広報担当者はMarkupに対し、「何百万人もの有権者が既に期日前投票しており、この小さなサンプルサイズでも根本的な真実を補強している。投票日が近づけば誰もがオンラインだけでなく、メールやテレビ、ラジオで政治的コンテンツを見る可能性が高まる」と政治広告が有権者に与える影響は小さいという見解を示した。

 Markup自身も観察の限界を認めている。12月にニュースフィードに表示されたコンテンツのほとんどは選挙とは関係のないものだった。また、調査に協力した58人は57.8%が白人であり、トランプ氏支持者は31%だった。ジョージア州の有権者数は約770万人なので、58人というサンプル数は少ないのも確かだ。

 「それでも、Facebookがエコシステムに大きな変更(政治広告停止解除)を加えると、人々のフィードに何が起こるかを垣間見ることができた」としている。

 調査結果のデータはGitHubで公開されている。

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