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“ヘリ基地局”で通信エリア構築、auの通信網に接続 遭難者の連絡を支援 KDDIが実験

» 2021年01月21日 20時46分 公開
[今藤祐馬ITmedia]

 KDDIは1月21日、小型携帯電話基地局を積んだヘリコプターを使って構築した通信エリアと、既存の商用通信網を接続する実証実験を行ったと発表した。参加者はヘリが構築した通信エリア内でau回線を利用し、離れた場所にいる人と通話やSMSの送受信ができたという。実験で得た知見は、災害時の復旧・救助活動に役立てるとしている。

photo 実験のイメージ

 実験は1月15日、鹿児島県薩摩川内市の港で行った。ヘリコプターには合計約7kgまで軽量化した無線設備とモバイルコア設備を積んで飛行し、上空から海上に電波を発射。ヘリ周辺に直径約2kmの通信エリアを構築した。地上には車載型基地局を載せた専用車両を配置。この基地局を経由して、ヘリ周辺の通信エリアと商用通信網を接続した。

 参加者はスマートフォンを持って船に乗り、海上の通信エリア内で端末を操作。au回線を利用し、離れた場所にいる人に連絡できることを実証した。ヘリ内のスタッフは、参加者のスマホが発する電波を検知し、端末の位置や通信状況を取得した。

 KDDIはこの技術を活用することで、船が遭難した際などに、上空から通信エリアを提供したり、乗組員の位置を推定したりといった支援が可能になるとしている。

 KDDIは2019年にもヘリコプターを基地局として活用する実験を行い、構築したエリア内での通信や、携帯の位置情報を取得することに成功していた。

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