「一般大衆に広がるまでのスピードが米国よりも早かった」――Clubhouseの日本人初のユーザーとされる山田俊輔さんは日本でのサービスの広がりについてこんな印象を持ったという。
“音声版Twitter”と呼ばれ、1月の下旬から話題となったClubhouse。トーク履歴が残らないため、著名な芸能人や起業家と気軽に交流できたり、普段は聞けないオフレコトークが聞けたりするとして、多くのユーザーが利用を始めた。コロナ禍で人と会う機会が減少していた面も追い風となった。
最近は一時の盛り上がりが落ち着きつつある中、そもそもこのサービスはどのようにして広がったのか。そんな疑問を日本人初のユーザーとされる山田さんに聞いた。
山田さんはどんな人物なのか。普段はWeb会議システム「Remotehour」(リモートアワー)を手掛ける起業家だ。山田さんによると、「URLを共有することでいつでもミーティングできるサービス。スケジュール調整不要のZoomといったところでしょうか」と説明する。
山田さんは2020年4月頃、当時住んでいたサンフランシスコの起業家が集まる「PodShare」というシェアハウスでともに生活する米国人の友人からClubhouseのテストユーザーの招待を受けた。「TwitterのDMで唐突にアプリへのリンクが送られてきた」という。
この招待リンクが、Clubhouseが5000人限定で配布したテストユーザーへの招待枠だった。ClubhouseがApp Storeでアプリとして正式にリリースされたのが20年10月。半年ほど前の出来事だ。「確証はないが、日本人は自分1人だけだったと思う」と山田さん。これが山田さんが“最初の日本人ユーザー”と呼ばれる理由だ。
「何のアプリだろうか」。アプリを開いてみると、非常にシンプルな印象を持ったという。当時は現在のようにスケジュール機能やユーザーのオンライン情報の機能はなかった。配信枠に名前を付けることもできなかった上、トークの公開範囲の設定もなかったという。
こうしたことから「機能だけ見ると本当にテストアプリだな」と思ったが、実際に使ってみるとユーザー層に衝撃を受けた。著名な投資家や起業家ばかりだったのだ。山田さんは「普段、自分が会えないような人がカジュアルに話したり、交流したりしていて、なんだ、このアプリは!と衝撃を受けた」と当時を振り返る。
「シリコンバレーで資金調達するためにはネットワークが重要」と話す山田さん。「Clubhouseは著名な人から資金調達できたから成功した。自分は日本人で、何のバックグラウンドもなかったので、事業拡大や自分が手掛けるサービスのPRのために本格的に使い始めた」という。
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