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» 2021年03月31日 06時21分 公開

新型コロナで実用化が進む“パスポート”技術 「感染リスクが無いこと」の証明に活用、しかし問題もウィズコロナ時代のテクノロジー(1/3 ページ)

「ワクチンを受けました」を証明する技術は新たな通行手形になるのか、そこに問題はないのか。

[小林啓倫,ITmedia]

 海外旅行に出掛ける際に欠かせないものといえば、まずは何といってもパスポートだろう。自分が誰で、どこの国から来て、危険な人物でないことを示すパスポートは、出入国の際に必要になるだけでなく、渡航先のホテルでチェックインする際など、さまざまな場所で提示が求められる。

 そしていま、新たな「パスポート」が実用化されようとしている。それはデジタル技術を活用し、スマートフォンのアプリなどの形で、所有者が新型コロナウイルスに関してどのような状況にあるかを示すシステムだ。例えばワクチンを接種したことを証明する「ワクチンパスポート」、ウイルスに対する免疫ができていることを示す「免疫パスポート」、あるいはより幅広い情報を対象とする「健康(ヘルス)パスポート」などさまざまな種類があるが、目的は一つ。これまでのパスポートと同様、所有者の身元を明らかにし、安心できる人物であると示すことである。

経済活動再開の鍵を握るパスポート技術

 いま世界各地でこうした「健康パスポート」技術の開発・導入が進められているが、その理由は、経済活動の再開を大きく後押しすると期待されているためだ。

 新型コロナウイルスに対抗するワクチンがまだ行き届いていない現在、そのまん延を防ぐには、人の移動を抑制することが最大の対策となる。しかし人の移動の抑制は、観光業や飲食業に大きな打撃を与えてしまう。といって規制を緩めると、すぐに感染者数が増加する……この繰り返しは、私たち日本人もこの1年間で実感してきたことだろう。

 経済活動を支えるために人の移動を許可しつつ、新型コロナウイルスのまん延を抑えるにはどうするか。その答えとして出てきたのが、COVID-19に感染するリスクも感染させるリスクもない人物だけに移動やイベントへの参加を認めるという考え方だ。そして「この人には感染リスクはない」と証明するのが、一連のパスポート技術ということになる。

 具体例を見てみよう。米ニューヨーク州で3月26日、新型コロナウイルス用ワクチンを接種済み、もしくはPCR検査や抗原検査で陰性だったことを証明するモバイルアプリ「Excelsior Pass」がリリースされた(関連記事)。米国の州でこの種のアプリがリリースされたのは、これが初めてだという。

photo Excelsior Pass

 これはFOX5で報道された際の映像だが、アプリ内に所有者(各種証明の対象となる人物)の名前と、QRコードが表示されているのが分かるだろう。これはちょうどストアスキャン型のQRコード決済アプリのように、企業側(交通機関やビルの運営会社、あるいはイベントの主催者など)が読み取るようになっていて、所有者がワクチンを接種しているかといった情報を確認できる。

 また、スマートフォンを持たない人々向けに、紙でもこのQRコードを出力できるようになっている。このQRコードと、本人確認のための身分証明書類を一緒に提示することで、対象者が施設内に入ったり、イベントに参加したりすることを許可するかどうかが判断される。

photo Excelsior Pass

 それでは企業側の対応はどうかという点だが、まずはマディソンスクエアガーデンやタイムズユニオンセンターなど、大型の施設が利用を発表している。今後は小規模なイベント会場に拡大していく見込みということなので、ニューヨーク州の住民にとって必須のアプリとなるかもしれない。

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