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Chromebook隆盛の陰でひっそり思い出す「Firefox OS」と「Fx0」デジタル・イエスタデイワンスモア計画(2/3 ページ)

» 2021年03月31日 16時10分 公開
[甲斐祐樹ITmedia]

新しいもの好きの筆者はおそらく日本最速でFx0を入手

 新しいもの好き、中でも新しいOSが大好物だった筆者にとって、iOSともAndroidとも異なる斬新なコンセプトで作られたFirefox OSは待ってましたと言わんばかりのガジェット。開発者向けだったFlameも購入し、Fx0の発売日にはKDDI直営店であるau SHINJUKUを開店の2時間半前に訪問するほどの力の入れようだった。

 しかしそんな物好きは筆者くらいだったようで、au SHINJUKUに到着した時点では行列はゼロ、その後開店時に並んだのも数人程度で、都内最速、おそらくは日本最速でFx0を手に入れた人物になってしまった。

photo 当時のau SINJUKUの状況

 これがiPhoneならハイタッチの洗礼を受けつつ店舗外に出れば取材の嵐だったのだろうが、Fx0を購入して店外に出ても取材陣の姿は見えず、筆者を迎えられたのは潤沢な在庫の端末をわざわざ早朝から並んで手に入れた物好きに送られるFacebookの「いいね」だけだった。

photo Fx0を最速購入

市場に受け入れられず短命に終わったFirefox OSとその理由

 コンセプトこそ斬新ながら市場に受け入れられずに短命となったFirefox OSだが、実際に使っていたユーザーとしては、当時の状況ではそれも仕方なかったな、というのが正直な感想だ。

 まずはブラウザしか使えないという端末の仕様だ。2014年当時は、ブラウザで動作するWebサービスもあったものの、大半のサービスはアプリがなければ事実上使えないものばかり。また、ブラウザで動作したとしても機能が限られたりと、実用にはほど遠い状況だった。

 Firefox OSブラウザ向けの対応も進んでおらず、スマートフォン向け表示が可能なWebサービスであってもPC版が表示されてしまうなど、Firefoxを取り囲む環境にも難があった。本来であればスマートフォン向け表示で使えるはずなのに、スマートフォンとして扱われていないというだけで使い勝手が損なわれるという体験は、当時のユーザーとしては悔しさを感じたものだ。

 そして何より問題だったのは、Firefox OSがモバイル端末向けだったということだ。通信環境の安定した場所ならいいのだが、移動中など電波が不安定な場所では、インターネット接続が必要な機能のほとんどが使えなくなってしまう。そのためどうしてもメイン端末とはなり得ず、通信環境のいいところでサブ端末として使う、カメラ機能のみ使う、といった割り切った使い方に留まってしまった。

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