新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京都は再び緊急事態宣言を発出した。都は飲食店に対して酒類の提供を停止するよう呼び掛けており、SNSでは「禁酒令」と取り沙汰されている。これを受けた記者の周りでは、Web会議ツール「Zoom」を使った“オンライン飲み会”の機会が再び増えつつある。
しかし、同じツールでの飲み会がこうも続くといい加減飽きが来る。そこで「Skype」のビデオ通話機能を使ってオンライン飲み会をしてみることにした。
Skypeを巡っては先日、Skype社のCEOに扮した海外YouTuberが、Zoomや親会社の米Microsoftに文句を言う……というジョーク動画が話題になった。Twitterには「本物だと思った」などの声もあり、ジョークだと気付かなかった人もいたようだ。
動画の内容はこうだ。SkypeのCEO(を演じるコメディアン)が、ユーザーに日頃の感謝の伝える……と思いきや、突然Zoomへの怒りを叫ぶ。「ZoomもSkypeも大した違いはない」「Zoomにできて俺らに出来ないことって何!?」と。
言われてみれば確かにそうだ。記者はこれまで、他の人がセッティングしてくれたから、会社の規定のツールだからという理由でZoomを使ってオンライン飲み会をしていた。SkypeとZoom、どちらがよりオンライン飲み会に向いているかは、考えたことも試したこともなかった。
そこで、Skypeを使ってオンライン飲み会を行うことで、Zoomとの違いを確かめようと考えた。実際に使ってみると、Zoomより良い点がいくつも見えてきた。
まず、音質や接続はZoomとあまり変わりなかった。今回、記者はPCを使い、友人と1対1で通話したが、少なくとも頻繁に切断したり、音声が聞こえにくくなったりしてコミュニケーションに支障を来すことはなかった。
ルームへの招待も、URLを発行して共有するだけ。筆者は2013〜15年ごろによくSkypeを使っていたが、当時は友人のIDを検索し、フレンドをルームに加える必要があった。そのときと比べると、かなり手軽になったと感じた。
今回は試していないが、SkypeはMicrosoftアカウントやアプリがなくてもWeb会議ができる「Meet Now」を2020年4月に追加した。この機能を使えば、会議の主催者でも、アカウントなしでルームを立ち上げられる。
Skypeはマイクが拾った音声を自動で文字に起こす機能を搭載している。日本語のテキスト化も可能だ。この機能をオンにすることで、お手洗いなどで離席しても、自分がいなかったときの話題を追うことができる。
ただし、精度にはムラがあった。調子が良ければ正確だが、悪い時は元の会話が推測できなくもない、という程度。文字起こしの速度も、会話のスピードに比べると若干遅い。席を離れたとき会話を追うには十分だが、議事録などには向かないと感じた。
Skypeは、Web会議の画面をボタン1つでスクリーンショットできる機能も搭載している。撮った写真は、自動でチャットに共有される。これにより、参加者で記念撮影をして、そのままみんなで画像をシェアできる。
人にもよるが、写真を撮るのは飲み会の楽しみの1つだ。しかし、オンライン飲み会では、なかなかその楽しみを味わいにくい。Zoomでもスクリーンショットは可能だが、外部のツールや、OSのスクリーンショット機能を使う必要がある。
しかし、Skypeのようにツール内にボタンがあれば、気軽に写真を撮影できる。写真を撮るなら、見た目や服装に気を遣おうと思う。コロナ禍で外に出る機会が減り、昨今は服装を身なりを整える楽しみが減ったが、Skypeを使った飲み会が増えれば、また復活するかもしれないと感じた。
一方で、一長一短と感じる点もあった。Skypeのビデオ通話は基本的にチャットルームと連携している。他の参加者を招くときはルームに招待する必要があるし、通話中のテキストチャットやスクリーンショットは全てこのチャットルームに自動で保存される。
後から写真やチャットを振り返るには便利な機能だ。しかし、誰かがいたずらでスクリーンショットを大量に撮影したり、チャットを投稿したりすると、ルームが投稿で埋まってしまう。普段雑談や仕事のやりとりで使っているチャットルームでビデオ通話をする場合は、注意が必要だと感じた。
かつては「飲みイプ」「さぎょいぷ」なんて言葉がよく使われていたが、最近はユーザーをあまり見かけなくなってしまった。筆者も、最近はプライベートでは「Discord」、仕事ではZoomばかりで、Skypeはほとんど使っていなかった。
しかし今回のように、実際に使ってみると見えてくる良さもある。これはSkype以外のサービスにも同じことがいえるだろう。
“Zoom飲み”という言葉が定着して久しいが、他のサービスも昔と比べて変化しているはずだ。まずはオンライン飲み会で試して、もし使い勝手が良ければ業務への導入を検討するのもいいかもしれない。
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