Innovative Tech
オンライン飲み会で「お酌」、乾杯も再現する「そそぎそそがせ」 阪大が開発
Innovative Tech:
このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
大阪大学による研究チームが開発した「そそぎそそがせ」(PDFへのリンク)は、遠隔で行うオンライン飲み会で、離れている相手とお酌をし合えるVRシステムだ。自分のコップに手酌しているのに、相手にお酌されているような錯覚を引き起こしたり、キャラクターにお酌してもらっている疑似体験もできる。
このような錯覚は、飲み物を注ぐ際に瓶を持った右手を奥行き方向に7~9cm程度ずらしてバーチャル上で描画することで起こる。この状態で何度も右手を動かすことで、ズレた位置関係が自然に感じられるようになる。この現象を「プリズム順応」と呼び、最初は誤差を感じるが何度も試行すると適応する感覚を得られる。
この現象を使い、実世界では自分のコップにお酒を注いでいるのにバーチャル上では自分が相手のコップに注ぎ、相手は自分のコップに注いでいるように錯覚する。
実験ではアバター同士で集まるオンライン飲み会を設定した。それぞれにお酌セット(瓶3本の飲み物とコップ)とHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を準備。ディスプレイに表示される相手のアバターは、相手の実際の動きが反映される。
瓶にはHTC VIVEトラッカーが取り付けられ、位置や傾きを計測。外部カメラでコップにどれくらい液体が注がれたかを捉え、バーチャル上で液面の高さを反映する。
コップには、HMDを着用したまま飲めるように、コップの飲み口だけが半円分切り取られるように離れる仕組みを導入。磁石により着脱し、注ぐときは引っ付いて、飲む時だけ離れる。これにより、飲む際にコップがHMDに当たらずに済む。
なお、瓶で注ぐ際はズラしている右手で、コップで飲む際は通常位置の左手で行うため、位置関係の混乱は防止できる。
コップの着脱は磁石を用いているので、コップを離す際に「カチッ」とした音が鳴る。これがコップ同士を合わせた乾杯の音に似ている。磁石は引き付け合うので、実際の乾杯時のように相手のコップと相互作用している触覚も得られる。体験者の1人は、離しているのに逆に押されている力を感じたと話している。
今回の手法では、遠隔地に相手がいなくてもキャラクターが存在すれば成立するため、1人飲みやVTuberとのお酌のし合いも可能だ。またリアルアバターを使用することで、より現実に近いオンライン飲み会が可能になるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
LINE、着せかえ表示問題を謝罪 希望者に返金へ
-
2
FANZA、成人向けAI創作・公開サービス「FANZAスタジオ」発表 先行体験は8月24日から
-
3
スマート給餌器で38時間の障害、ペットがご飯食べられず 飼い主の苦情殺到 「旅行中なのに」「猫が死んじゃう」
-
4
法務省、「ラヴ上等」とのタイアップ中止 「当初の意図を全うすることが難しい」
-
5
Anthropic、8月末にもIPO申請書類を公開か 調達額はSpaceXの過去最大に匹敵と米報道
-
6
終了発表の縦読み漫画「comico」――元重課金ユーザーが振り返る「いつしか開かなくなった」理由
-
7
コードが書けない筆者が愛車用にアプリを2本自作 「AI製アプリで起業」の夢膨らむも、見えた有料化の壁
-
8
生成AI画像で“架空の女性”に成り済まして政治投稿か 立憲栃木県連の男性党員 一部報道
-
9
目指すは、日本発IPで海外売上20兆円 経産省が新戦略を発表 「ものがたり大国5カ年計画」
-
10
「朝食を抜くと頭が働かない」はホント? 食べた人と食べてない人の認知能力を比較、3000人以上を調査
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR