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日本でも広がり始めた「フェムテック」 女性が抱える健康課題にテクノロジーで取り組むルナルナに聞いた(前編)(1/3 ページ)

» 2021年04月30日 20時55分 公開
[旦木瑞穂ITmedia]

 最近耳にするようになった「フェムテック」という言葉。これは女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決できる商品(製品)やサービスのことを表す、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語だ。

 この言葉ができたのは2012年。ドイツの月経管理アプリ「Clue」を開発したデンマーク人が作ったとされている。

 2021年3月31日、世界各国の男女平等の度合いを示す「ジェンダー・ギャップ指数ランキング」が、世界経済フォーラム(WEF)から発表された。日本は156カ国中120位と、前回(121位)同様、先進国の中で最低水準。このニュースを見て、ため息をついた女性は少なくないはず。森元首相の女性蔑視発言も記憶に新しい。

photo 日本のジェンダーギャップ指数は世界120位

 しかしそんな日本でも、確実に「フェムテック」は根付き、広がり始めている。日本のフェムテックを前後編で紹介していきたい。

日本のフェムテックの先駆け「ルナルナ」

 2019年9月、iPhone に標準搭載されているヘルスケアApp、またはApple Watchの周期記録Appでも、月経周期を記録できるようになった(iOS 13およびwatchOS 6以降から)。

 毎月の月経開始日や日数を記録でき、次の月経を予想して知らせたり、妊娠可能期間を通知することもできる。

 iPhoneユーザーは現在世界で9億人以上といわれているが、そのiPhoneが月経管理機能を標準搭載したということで、「今やスマートフォンで月経を管理することは、世界中の女性のスタンダード」といえそうだ。

 ちなみにフェムテックという言葉を生んだドイツの「ジェンダー・ギャップ指数ランキング」は、11位だ。

 日本はどうだろう。驚くべきことに、2000年、世の中がまだガラケー主流の時代に、日本にはすでに携帯電話向け月経管理サービスが存在していた。

 今や、女性なら知らない人はいないほど普及しているアプリ「ルナルナ」の前身「ルーナ」だ。

 サービスを提供しているのは、一般向けの「music.jp」や自治体向けの「母子モ」など、モバイルコンテンツやITサービスを提供するエムティーアイ。当時は共働き夫婦が増加し、女性の活躍の場が広がり始めた時期だった。女性たちの多くは、普段持ち歩いている手帳や、自宅のカレンダーなどに月経の記録をつけ、次回の月経を自分で予測していた。

 そんな中、「ガラケーの中に、次回の生理日を計算して教えてくれるコンテンツがあったら便利なんじゃないか?」と考えた男性からの提案を受け、アイデアの実現に動き出した。

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