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トランスパイラ「Babel」の開発チーム、資金難で寄付を募集(1/2 ページ)

» 2021年05月12日 13時43分 公開
[新野淳一ITmedia]

この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「トランスパイラ「Babel」の開発チーム、「何百万人にも使われているのに、なぜ私たちの資金は尽きようとしているのか?」。資金難により寄付を訴え」(2021年5月12日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。

 「Babel」は、JavaScriptコンパイラもしくはトランスパイラの代表的なツールとして知られており、FacebookやSpotify、Slack、MongoDBなどさまざまな企業や開発現場で使われています。

 そのBabelの開発チームが資金難になっていることを、開発の中心となっているコアチームがブログ「Babel is used by millions, so why are we running out of money?」(Babelは何百万人にも使われているのに、なぜ私たちの資金は尽きようとしているのか?)で明らかにしています。

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 Babelとは、ECMAScript 15以降のいわゆるモダンなJavaScriptの構文や機能を活用して書かれたコードを、それ以前の古いJavaScriptコードに変換してくれる、JavaScriptコンパイラやトランスパイラと呼ばれるツールです。

 実行環境がモダンなJavaScriptをサポートしていなくても、Babelを用いることで開発環境においてはモダンなJavaScriptの持つさまざまな構文や機能を用いて、高い生産性で開発を行えるという利点があります。

 それによりBabelはモダンなJavaScriptを用いた開発現場において幅広く使われているツールと言えます。

Babelの開発を推進するため、退職してフルタイムの開発者へ

 Babelにおけるコアチームの1人であるHenry氏は、開発をより推進すべく、2018年に会社を辞めてフルタイムでBabelのプロジェクトに取り組むことを決意しました。

 フルタイムになったHenry氏はまず、資金調達をオープンソース向けの寄付サイト「Open Collective」などで活発化させ、Handshakeからはプロジェクトの本格的立ち上げのための支援として毎月1万ドルを10カ月にわたって提供してもらうことなどを実現。

 Airbnb、Trivago、Gatsby、AMP、Salesforce.comなどのスポンサーも得て、フルタイムの開発者として月額1万1000ドルの自身の給与をまかなえるようになりました。

 Henry氏はさらにBabelの開発推進を示すことで、より多くのスポンサーの獲得を画策します。そのために開発チームの充実のためにJùnliàng氏、Nicolò氏、Kai氏の3人にも、まずはパートタイム的な額にあたる月額2000ドルの給与支払いを決定。

 開発のロードマップを明確にすることなどでスポンサーが拡大すれば、この3人もフルタイムの開発者としての給与が支払えるのではないかともくろんでいました。

 そこからBabelの開発は、多くのECMAScriptのプロポーザルを実装し、TypeScriptの新機能もキャッチアップするなど順調に進み、月間のダウンロード数は117万回を超えるほど拡大するなどの実績を達成。次のメジャーバージョンアップとなるBabel 8も視野に入ってきました。

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