アクセルペダルの代わりに装備されているのは、ハンドルの少し奥に一体化した形で左右に張り出ているアクセルレバー。このレバーを手前に指で引くことにより加速し、レバーを戻すと減速する。
左右のレバーはそれぞれ独立した操作が可能で、右のレバーは通常の加速、左のレバーはバッテリーの航続距離が延びるエコノミーモード、左右のレバーを両方とも引くと加速が強力になり、坂道や4人フル乗車時に有効だ。
レバーを指でゆるめて奥に戻すとインホイールモーターは減速し、かなり強力なモーターブレーキがかかる。誤って加速して飛び出してしまいにくいので、指でのアクセル操作に慣れないうちは誤発進や急加速によるトラブルは起きにくい。ただし、信号のある交差点からの右左折や坂道発進は少し注意する必要がある。
身体がこのクルマに慣れないうちは、交差点でハンドルを切りながらアクセルレバーを保持しきれず指から離してしまい、交差点内で急に速度が落ちて止まりそうになったことがあった。坂道の登りで停止位置からの発進ではアクセルレバーを引くタイミングが少し遅れると、車体重量の軽いFOMM ONEはすぐに後ろへ下がってしまう。
慣れないうちは緩めの登り坂でもサイドブレーキを使った坂道発進を行うのが安全だ。
何度か乗るうちにFOMM ONEにも慣れ、いまでは最初に感じていたストレスもなくドライブを楽しむことができている。
それでも、アクセルは足で操作するものという感覚が染みついてしまった身体を修正するには、このクルマに乗る時は「これまでのクルマとは作法が違うのだ」と意識して運転することが必要だろう。このハードルを超えさえすれば、極めて小さい最小回転半径や駐車スペース効率の良い便利さが際立つ。
もしFOMM ONEのようなEVが普及して気軽に使えるようになれば、都市部よりも公共交通機関を利用しにくい地域での足として役立つことになるだろう。そのためにはスマートフォンと連動したレベル4以上の自動運転化が将来実現されることを望んでいる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR